株式会社 横松建築設計事務所
ARCHICADで何処より早く顧客へアプローチ。 独自の囲込み戦略で受注率を飛躍的に向上

株式会社 横松建築設計事務所

BIMの普及が本格化しつつある建築業界においても、企画、設計だけでなく実施図面作成までフル活用している設計事務所は、一部の大手組織設計事務所をのぞけばまだ多いとは言えない。宇都宮市の横松建築設計事務所は所員7名の小規模事務所ながら、いち早く導入したARCHICADでBIMの活用を推進。圧倒的なスピードとクオリティで他社差別化を実現し、急ピッチで成長を続けている。自らARCHICADを駆使して事務所を率いる一級建築士、横松邦明氏にお話を伺った。

株式会社 横松建築設計事務所

創業 : 1981年10月

事業内容 : 住宅、マンション、医療施設、店舗等の設計・管理 建物のリフォーム、リノベーション 公共事業、建物の耐震診断 ほか

代表者 : 代表取締役 横松 宏明

所在地 : 栃木県宇都宮市

従業員数 : 7名

ARCHICADを駆使した”囲い込み”戦略

株式会社 横松建築設計事務所
一級建築士 専務取締役
横松邦明 氏

株式会社 横松建築設計事務所 一級建築士 専務取締役 横松邦明 氏

「当社は私を含め6名の設計者がおり、うち3人がARCHICADを使います。この体制で昨年は銀行に保育園、病院、住宅を建て、細かい案件もかなりの数を作りました」。ARCHICAD導入前に比べ、受注量は飛躍的に増えたと横松氏は語る。特に近年急増競合案件については、会社としてコンペに参加する件数も、そしてその勝率も、以前とは雲泥の差なのだという。
「鉄骨2階建て1千平米程の保育園なら2日もあれば私1人でモデルを立ち上げ、平面図とパースを仕上げてプレゼンできます。これにより、躊躇せずコンペに挑み、提案していけるのです」。余裕のない小規模事務所では、競合負けのリスクを考えコンペ参加にも慎重になりがちだが、同社にその不安はない。しかも勝率も圧倒的なのだ。そこにはARCHICADによる設計手法をフルに生かした、独自の営業戦略がある。
「新規物件の情報をつかんだら、とにかく早く、手厚くプラン提案を行なうのです。

短期間でプランを作って持っていき、もし気に入らないといわれても、またすぐに直してお見せする。時にはARCHICADを持ち込んで、お客様の目の前で直して再提案するのです」。もちろん、横松氏が創る提案そのものの確かな品質が前提なのは当然だが、提案される側のお客様にしても、目の前で「自分が思う通りのモノ」が出来上がってしまったら、改めて他社案を待つ理由などなくなってしまう。つまりARCHICADによる圧倒的な品質と速さで、いち早く顧客を囲い込み、勝負を決めてしまうのである。
「特に気合いを入れる時は、BIMxで動画まで作っていきますね。そうやって1度お客様の信頼から競合落ちすることはほとんどありません」。
この提案段階におけるスピーディかつ柔軟な対応は、そのまま設計施工段階にも引き継がれる。お客様とプラン詳細を詰めていくやり取りも、ARCHICADでその意思を細かく確認しながら進めていくのだ。
「iPad等を使う施主から変更指示があったら修正してそのままBIMxで送り、すぐ確認してもらいます。iPadを使わない方にはパースや動画を作ることもありますね。詳細モデルがあるので修正も簡単だし、多彩なビジュアルで見せるのも容易です」。それだけ施主の注文も細かく多くなるが、それは歓迎すべきことだと横松氏は言う。

足利銀行 外観
足利銀行 外観
自社物件の全てでフルBIM対応を実現

「BIMxを自分で操作できるお客様は隅々まで見てくれるので、”ああしたい・こうしたい”がたくさん出てきます。ARCHICADで素早く対応できるとはいえ、設計者の負担はあります。でもそれでいいと考えています。現場終了後に”思っていたのと違う”と言われるよりはるかに良い」。建物が建ってしまってからのダメ出しはコストに直接関わり、非常に大きなトラブルにも繋がりかねない。1つ処理を間違えれば、お客様に与える印象もマイナスで終わってしまう。それなら設計施工段階でたっぷり要望された方が誤解のない仕事ができて、お客様の印象も良いのである。
「私たち建築家の仕事は建物をイメージして作ることですが、同時にそれを現実化する中でどんな問題が起こるか、想像し、潰していくことも欠かせません。その意味でもARCHICADは強力な武器なのです」。
このような、大手設計事務所でもなかなかできないフルBIM対応を、同社は自社物件のほぼ全てで実現している。しかも、前述の通り同社のARCHICADユーザは横松氏含めわずか3名で、うち1名はこの3月に入社したばかりの新人なのだ。いったいどのような斬新な体制がそれを可能にしているのか? そう尋くと「特別なことは何もない」という答えが返ってきた。これもあくまでARCHICADの機能をとことん使いこなすことで、実現しているのだと言う。
「まず私が企画を立て、高さ関係等も含め、ある程度ARCHICADで形を作ります。このモデルを基に、チームワーク機能でもう1人の所員とやりとしながら作り込んでもらうのです」。そして、プレゼンが終われば、このモデルをベースに実施設計を進める。横松氏は打合せや現場立ち合いで外出することが多いため、出先からノートPCでアクセスして確認し、指示を出すことも少なくない。

ナーサリースクールとまつり 外観パース
ナーサリースクールとまつり 外観パース
ナーサリースクールとまつり 断面詳細図
ナーサリースクールとまつり 断面詳細図
若い設計者にとってBIMは最大のチャンス

「2DCAD時代だったら外観イメージを手描きし、細ごまと言葉で説明して若手に図面を描かせるのでしょうが、当社ではまず私が形を作りモデルにして渡すので、設計意図は話すまでもなく明確です。社内の打合せも少なくて済み作業も正確で早いのです」。一方もう1人の若手はARCHICADを使い始めたばかりなので、主に家具や階段の3D部分などパーツ作成を担当している。半年もすればARCHICADを使いこなし、十分戦力となると横松氏は予想している。  
「この半年という期間は設計者として学ぶことも含んでいます。逆に建築図面が描ける人なら、3カ月もあればARCHICADで実施設計できるようになりますよ」。それだけに、ARCHICADの2D作図機能を使わず実施図面を別の2次元CADで描くやり方には疑問も感じている。ARCHICADなら1つのプランデータに2D作図データも3Dモデルデータも全部入れられファイル管理も楽なのに、わざわざ別のCADに変換して描く理由がないというのだ。
「人それぞれですが、以前使っていた2次元CADと比べてもARCHICADの2D作図コマンドはすごく使いやすく、今では2D図面だけの仕事もARCHICADで描くほど。これを使わないのは本当に勿体ない」。
このように、ARCHICADを核とするBIMの幅広い活用で着々と実績を積み重ねる同社だけに今後もその方向性に揺るぎはなく、さらに加速していく計画だ。まずはARCHICADを使えるスタッフ育成と社内のBIMルール整備にいっそう力を注ぐ。
「ARCHICAD使いを1人ずつ増やし、6~7人になったら、相当量の業務をこなせると思います。公共事業等の大型BIM案件にもぜひ挑戦したいですね。
…とにかく若い設計者にとってBIMは大きなチャンス。通常、年功序列で若手がなかなか参加できない大プロジェクトにも、ARCHICADを使える人ならチャンスが出てきます。これを生かさない手はありませんよ!」

富士見が丘の住宅
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宅地建物取引業協会 コンペ案
宅地建物取引業協会 コンペ案

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