アーバンスクエア 株式会社
ARCHICADのBIMデータを全社で幅広く活用し、輸入車ブランドの多店舗(CI)展開をトータルに支援

アーバンスクエア 株式会社

東京都渋谷区のアーバンスクエアは、他にあまり例のないユニークな一級建築士事務所である。業務の中心は自動車ショールームの多店舗(CI)展開の支援で、トータルなCIプラン・管理から実際のショールームの設計・施工監理、さらにはそこで用いる什器デザインまで幅広く展開。特に輸入車分野で豊富な実績を蓄積しており、設立3年目ながら数々の有名ブランドを顧客としている。同社では設立時からARCHICADを選定・導入し幅広く活用してきた。その狙いと背景について、社長の金田氏と設計部の山口氏に伺った。

アーバンスクエア 株式会社

所在地 : 東京都渋谷区

代表者 : 代表取締役会長 松永 富大

設立 : 2016年1月

事業内容 : 自動車ショールームの多店舗展開支援(CIプラン・管理、自動車ショールーム の基本設計・実施設計・工事監理、 自動車ショールームの建設におけるプロジェクトマネジメント、ショールームアイテム(什器等)のデザイン・製作・設置ほか

webサイト : http://urban-square.co.jp

アーバンスクエア株式会社
取締役社長
金田 昭宏 氏

アーバンスクエア株式会社 取締役社長 金田 昭宏 氏

アーバンスクエア株式会社 設計部 係長 山口 夕輝 氏

輸入車マーケティングをトータルに支援

「業界外の方に当社ビジネスの仕組みをお伝えするのは、なかなか難しいのですよ」。そういって苦笑いしながら、金田社長は同社のユニークな業務について輸入車ビジネスの流れから解説してくれた。すなわち、まずドイツのベンツやスウェーデンのボルボなど「自動車メーカー」が自動車を生産し、これをメルセデス・ベンツ日本やボルボ・カー・ジャパンなど「インポーター」と呼ばれる会社が総輸入元となって輸入する。そして、その輸入車を消費者へ販売するのが全国の「販売会社」だ。この市場においてアーバンスクエアは、インポーターを顧客とするビジネスと販売会社を顧客とするビジネスとを、事業の2本柱としているのである。

「一つはインポーターを顧客とするCI展開ビジネス。本国のメーカーから提供されるCIマニュアルに基づきマスタープラン(CIプラン)を作り、各ショールームでのCI展開を監修し、プランに基づく看板や家具などをデザイン・制作し、時には輸入して提供します」。つまり、各ブランドの価値を高く維持するため、ひと目でそのブランドのショールームと分かるようCIプランを作り、これに基づき店づくりを監修するのである。この業務は営業部を中心に行われ、デザイン部が家具や什器デザインを担当する。一方、販売会社の依頼を受けて設計部が担当するのが各販売会社のショールーム設計だ。「実際にショールームを出店するのは各地の販売会社で、それを設計する会社も彼らが選びます。当社の強みは、多くの大手ブランドのCIプランを手がけ、それを熟知していること。販売会社は“CIプランを生かして実施設計までお願いします”と依頼してくるわけです」。

いわば輸入車のCI展開の流れを、上流から下流までトータルに支援しようというこうした業態は、日本ではまだ希少な存在だ。かつてCI展開は広告代理店に、ショールームの設計施工は各地の設計事務所や工務店に発注されていたが、現在はアーバンスクエアを始めとする新業態の企業へトータルに任せるのが主流となってきているという。「当社がインポーターにも販売会社にも支持されるのは、当社ならCIはもちろん、看板についても内装についても1度に打合せでき、専用家具の輸入まで任せられるからです。お客様にとっては非常に楽ですし、つねにレスポンス良く進められるわけです」。

そして、このような他にはない同社の強みを支えている基盤の一つが、同社が創業時から採用しているARCHICADによるBIMの幅広い活用である。実は同社では、設計部はもちろんデザイン部や営業部でも、ARCHICADを日常的に利用しているのである。

設計・デザイン・営業もARCHICADを

「CI展開において、私たちがARCHICADを選び各部門で活用し続けているのは、一つのBIMモデルから多様なデータを作り出し蓄積して、当社のさまざまな業務へ幅広く転用できるからです」。たとえば、各輸入車ブランドならではの家具や看板など什器類のモデルデータがそうだ、と金田社長はいう。新規出店するショールームのプランニングにおいては、どの都市だろうと共通のブランドイメージを正しく演出するため、CIプランで指定された専用家具や看板を正確に再現し配置する必要がある。それら什器類のデータはデザイン部が制作するが、これも50拠点100拠点分となるとその負担は膨大だ。「でも、それらをARCHICADで作っておけば、いつでも何十拠点にでも転用できます。このメリットは想像以上に大きいんですよ」。

もちろんショールームの建物も、同様にCIプランに指定された仕様に基づいて設計される。こちらは設計部が、用意された敷地に合わせて ARCHICADを用いて設計していく。もちろん、デザイン部が作った家具や看板も縦横に活用される。そうしてBIMモデルが仕上ると、チームワーク機能等も活用しながら、デザイン部はレンダリングをかけてパースを制作するし、他方では営業マンもモデルをBIMxに出力して打合せやプレゼンに用いるのである。──いわば組織を問わず多様なスタッフがARCHICADを駆使し、そのデータを多彩に使い回すことで、各業務の効率化と品質向上を図っているのである。

「中でも設計部では、スタッフ全員が実施設計レベルまでフルにARCHICADを用いて設計を行っています。平・立・断全ての図面の整合性が取れ、一つ直せば全て直るARCHICADは、私たちにとって重要な武器なのです」。設計部を率いる山口夕輝氏の言葉に、金田社長も頷く。「ARCHICADでの設計作業は、3Dとリンクして納まりなどを目で見て確認しながら進められるので、品質向上にも繋がっていると思います」。そしてもう一つ、重要なARCHICAD活用法として両氏が挙げたのが、コミュニケーションツールとしての利用である。

「2人の施主」に喜んでもらうために

「基本的に、ショールームや修理工場など同じカテゴリの建物をひたすら作り続けている私たちですが、実はこの業務には“2人の施主”さんがいらっしゃるんです」。もちろんジョークですよ、と山口氏は笑う。言うまでもなく、山口氏ら設計者にとって発注元の販売会社が施主であり、その要望に応えるのが基本となることに変わりはないが、同時にそのブランドのCIを作ったインポーターの意向も決して無視できないのである。そして、困ったことにこの両者の意向はしばしば対立する。「販売会社はコストを抑えて小規模店で営業したいと考えますが、インポーターはあくまでCIプランに定めた通りの店づくりを要求します」。まさに「2人の施主」というわけだ。しかも、販売会社側に立つ設計部に対し、営業マンたちはインポーターの意を汲む。つまり、社内で営業と設計の利害が相反する案件も少なくないのである。

「ですから“2人の施主”はもちろん社内の理解を得るにも、プランの見せ方・伝え方がすごく重要になるわけで……ARCHICADのBIMを用いたビジュアルな提案が大きな威力を発揮するのです。実際、ARCHICADを使うとお客様とのやりとりが圧倒的に早くなります。しかも、このプレゼン自体をすごく面白がってもらえるのです。営業的にも、これが大きなアドバンテージになっているのではないでしょうか」。

このようにARCHICADによるBIMを一つの基盤に、独自のノウハウを蓄積したアーバンスクエアのビジネスは、いまや着実にフィールドを拡大しつつある。

「とにかく設計者にはARCHICADをさらに使いこなし積極的に外に出るようになってほしいですね。リュックサックにPCを入れて自ら打合せに行き、BIMxをクルクル回して販売会社の社長さんに説明する──これをみんなにやってほしいのです。自分で説明すればプランのどこに力を入れるべきか分かるし、お客様の要望も実感できます。設計者として大きく成長できるでしょう。あとは……ARCHICAD用のテンプレートを作りたいですね。ベンツ用、ポルシェ用という風に、それぞれのCIプランに基づいた家具や内装仕上げ等を一つずつまとめたいのです。これも当社だからこそ可能な手法であり、実現できれば、当社の効率化はさらに進むでしょう」

※CI(コーポレートアイデンティティ)とは、企業の特徴を明確に提示し、イメージの統一することで会社の存在価値を高める企業戦略。

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