“ギリギリまで粘る”ためのスピードアップ
atelier wiz + 伊藤設計 代表/一級建築士 伊藤彰朗 氏
「私が建築設計者として大切にしていることは、“ぎりぎりまで粘る”ということです。とにかく時間の許す限り、アイデアを出して検討し、少しでもより良い建物を作りたいと、いつもそう考えています。その意味で、ARCHICADの導入は私にとって非常に大きな意味がありました」。
伊藤氏によれば、ARCHICADの活用によって頭の中の建物のイメージを具現化する作業が大きくスピードアップしたのだという。そうして余裕ができた分、“ぎりぎりまで粘る”ことに対し、よりいっそう多くの時間を注ぎ込めるようになったというのだ。同氏のプランニング手法は決して特殊なものではない。まず平面をスケッチしてある程度のプランを固める。その上で、たとえばさまざまな屋根のかけ方を試したり、壁にアールをかけてみたりするなど、多様なシミュレーションを行うのだ。そうして複数のプランを考案し、比較・検討した中からベストな案を選んで提案していく。当然ながら、“より良い設計”を生み出すには、このシミュレーションにどれだけの時間を費やせるかが最大のポイントとなるのである。
「シミュレーションは頭の中だけでやっていてもダメで、とにかく3Dモデルを作り、眼で見て検証しなければなりません。実際、立ち上げてみて初めて“こうなるのだな”と気付き、“思ったより良い”とか“思ったより悪い”と感じられることが多くなるのです」。そして、ARCHICADならこの“眼で見て確認するシミュレーション”を、より的確に、しかも簡単に、かつスピーディに行えるのである。特にそのスピードは圧倒的で、2次元CADなどとは比較にならないと伊藤氏は断言する。
「2次元の汎用CADに比べると、プランを固めるまでのスピードは2倍、いや3倍は早くなった実感があります。 しかもモデルができあがれば、そこから図面やパースを切り出す作業は半日で充分。だから提出日さえ決まれば、本当にギリギリまで粘れるのですよ」。
お客様も自分も楽しめる家づくりを
それにしても、2次元CADに比べ2~3倍ものスピードアップとはただ事ではない。ARCHICADを使ったとはいえ、どのようにしてそこまでのスピードアップを実現したのだろうか。伊藤氏によれば、そもそも2次元CADによる設計は不要な手間が多すぎるのだという。実際、2次元CADを使ってプランをつくるためには、建物という1個の立体物に関わるアイデアを、平面・立面・断面という3種の図面で表現しなければならない。つまり、この3種の整合性を取りながら検討し、修正していくという手間のかかる作業が必要となるのだ。これに対して、ARCHICADによる3次元設計なら、3Dモデルづくり一本に専念できるのである。
「この違いは大きいですよ。それに、パソコンの中に3Dモデルを作りあげるのは意外と簡単で、とても楽しい作業なのです。この“楽しい”ということがとても大切で、楽しい仕事ならアイデアも次々に湧きますし、テンポよく進行します。もちろんこの楽しさはお客様にも伝わりますよ。実際、3Dでお見せした時のお客様の反応は、2Dのそれとは断然違いますからね」。
これは単なるビジュアルインパクトの威力というだけではない。むしろ設計者の設計意図を“正しく伝える”という点で、3Dは圧倒的なコミュニケーションツールとしての役割を果たしているのだ。たとえば断面を切って見せながら説明することで、建築の素人である施主にも設計意図が明確に伝わる。“わかる”から施主は要望を出せるし、家づくりを楽しめるようになるのだ。
「当社のような小規模事務所では、私自身が説明したり、プレゼンしたりする機会も多いのですが、実は私自身が得意な方ではありません。だからこそARCHICADには、大いに助けてもらっている実感がありますね。お客様が私の提案を見て、喜んでくださることはやはり嬉しいものです。仕事だからこそ、自分もお客様も両方楽しいのが一番でしょう。良い仕事なら次にも良い方向に繋がると思いますよ」。
“3次元が難しく手間がかかる”という考えは先入観
このように、ARCHICADの幅広い活用によって伊藤氏は設計事務所としての強みを生み出し、明確な他社との差別化を図っている。実際、同氏の事務所では基本すべての物件に関して、プランニングから基本設計までARCHICADを使って設計している。RCや鉄骨はもちろん、木造の物件についても同様である。
「最近は木造の物件が増えていますが、その場合も部材は柱や梁、筋交いもすべて入力しています。当然、伏図や軸組みの図面を作るにはすべてを入力する必要がありますからね。それに、そうしておけばスケルトンにして建て方の説明にも使えますし、断面も簡単に切って見ていただくことも出来ます」。
実際にスケルトンにした木組み状態の3Dモデルを見た同業者からは“ここまで入れるのか!”と驚かれることも多いが、実は意外なほど簡単にできるのだと伊藤氏は言う。2次元で同じことをやるには、平面図で四角を描いて1本ずつ柱を作っていかなければならないが、ARCHICADなら柱を順番に置いていくだけで平面、立面、断面、仕上げにいたるまで表現できる。2次元で書くよりもはるかに簡単で、スピードも倍以上速いのである。しかし現実には、伊藤氏の周りでも2次元汎用CADを使っている設計者がまだまだ多い。
「“3次元は手間がかかる”とか“大変だ”とか、多くの設計者がそういった先入観を持っているのではないでしょうか。正直もったいないと思いますね。3次元は皆さんが思っているよりもずっと簡単ですし、面白いし便利なのです。何よりこの時代を勝ち抜くには無くてはならないツールです。先入観を捨てて、ぜひ一度使ってみてほしいと感じていますね」。
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