合併直後からARCHICADを中心としたBIMを展開

2013年4月に、旧・安藤建設と旧・間が合併して誕生した安藤・間では、合併直後からBIMの導入に注力している。既にBIMを活用したプロジェクトは十数件にも上り、ほとんどが現在進行中だ。
意匠設計には、グラフィソフトジャパンの「ARCHICAD」を使っている。「建物の設計や現場の状況を3Dでわかりやすく見せるためには、最適なソフトです」と、安藤・間でBIMの普及を担うBIM推進グループの吉田日都士グループ長は語る。
同社では設計・施工を行うのに、従来の2D図面ベースから3DのBIMモデルベースへと急速に切り替えつつある。設計者自身が利用できるBIMソフトには、取っつきやすさと奥深さの両面が求められる。
「ARCHICADは3Dモデルと2D図面が連動し、両方を行ったり来たりしながら設計を進めていけるので、2Dから3Dに移行するための敷居が低いのがいいですね。さらに複数の設計者が1つのBIMモデルを共同で設計する『TeamWork機能』や、設備のBIMモデルを読み込んでの干渉チェック、iPadやパソコンでウォークスルーや図面参照が行えるクラウドシステム『BIMx Docs』も利用でき、BIM活用の質も高めていくことができます」(吉田グループ長)。
BIM推進グループの取り組み
安藤・間は発足して半年後の2013年10月に、社内にBIMを普及するためのBIM推進グループを立ち上げた。当初、3人でスタートした組織だが、2014年4月には7人に増えた。
合併前の安藤建設および間では、各々ARCHICADを使用し設計を進めていたものの、合併後、約180人の設計者となった同社でBIMへの転換を図るには、今後、さらに多くのARCHICADのライセンスが必要となる。
また、BIMソフトを動かすハードウエアも従来のパソコンではスペックが不足するため、2013年、2014年と、大量のワークステーションを導入した。
「BIMは松竹梅の『梅』レベルから始めればよいと思います。まずは3Dでのモデリングに慣れ、属性情報をフルに活用するのはその後、取り組んでいくという考え方です」(吉田グループ長)。
設計者がBIMモデルや3DパーツなどのBIM資産を蓄積しながら、設計・施工の質を高めていく。3年後を見据えたBIM推進グループの取り組みが本格的に始まった。

OPEN BIMで様々なソフトと連携

建設会社として、安藤・間はBIMによる設計と施工の連携にも重きを置いている。施工段階での作業の手戻りは、金額的にも大きなロスとなる。
そこで「施工で実を得る」という考え方のもと、施工段階ではARCHICADで作った意匠や駆体のモデルに、協力会社が設備用BIMソフトで作成した空調、衛生、電気の設備モデルを組み合わせて、干渉チェックを実施。着工前に施工時に問題になりそうなところを発見・修正する「フロントローディング(業務の前倒し)」に取り組んでいる。
「ARCHICADは、様々なBIMソフトとIFC形式によってデータ連携を図る『OPEN BIM』という思想で開発されています。そのため、CADWe’ll TfasやRebroなどの設備用BIMソフトの設計データをARCHICADに取り込み、意匠・駆体と設備の干渉チェックもスムーズです」(吉田グループ長)。
施主からも高い評価
現在、BIMを本格的に導入して進行中のプロジェクトのうち、東京・銀座に建設する事務所と店舗からなるビルは、意匠・構造・設備の設計をすべてBIMで行った同社初の“フルBIM”を実現した。免震構造のビル なので、免震階が地震動で揺れたときの設備配管の動きを考慮した動的な干渉シミュレーションを行っている。
同じく東京都心に建設するオフィスビルでは、十数パターンの外装サインの検討や、ファサード照明のシミュレーション動画を作成した。
また、埼玉県内に建設する工場では、企画設計から実施設計までをBIMで行い、一部、設計図書の作成にも利用した。
こうしてBIMの活用に本腰を入れ始めた安藤・間に対し、高く評価する施主も現れ始めた。例えば工場の建設では、“陣地取り”と呼ばれるように設備の配置が重要な合意形成事項となる。
施主側の担当者が上司に工場の設計について報告するときに、ARCHICADや設備用BIMソフトで作成したCGパースはとてもわかりやすいと高く評価されている。

教育、基準に生きるグラフィソフトのノウハウ

安藤・間にとって、BIM教育は大きな課題だ。
教育と普及を担当する下川弘副部長は「社内教育でも、グラフィソフトジャパンが提供するBIM教育プログラム『JUMP!』を活用しています。例えば新入社員には、基本操作やプレゼンテーションを学ぶ『JUMP1』とモデルの 詳細化を学ぶ『JUMP2』を受講させています。また、管理職にはスライドショーなどでBIMを説明しても、従来の3D-CAD/CGとの違いが判りづらいため、グラフィソフトのスタッフによるARCHICADの体験基礎講習会を行い、自 部門の業務においてBIMでどんなことができるのか、どのように活用できるのかを体感してもらう講習を行っています」と説明する。
また、ハード・ソフトのBIM基盤整備や対外的な活動を担当する松野義幸担当部長は、日本建設業連合会BIM専門部会で、施工LOD検討ワーキンググループのリーダーを務めている。LODとはBIMモデルの詳細度を数値化したものだ。
「ワーキンググループでは、LODの解説書を作成しています。ここでグラフィソフトジャパンがARCHICADで作ったサンプルBIMモデルが大変、役に立ちました。グラフィソフトは、このモデルを他社のBIMソフトによって作ること も快諾してくれました」と松野担当部長はグラフィソフトジャパンが持つBIM活用ノウハウやBIMモデル資産、そしてOPEN BIMの精神による標準化への協力体制も高く評価している。
安藤・間のBIM推進チームは今年8月から、全国の支店や現場を回り、全社的なBIM導入に向けて本格的な活動をスタートさせている。ARCHICADはBIMプロジェクトの中核を担うソフトとして、さらに活用度が高まりそうだ。
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