建築本部BIM推進室
課長
一居 康夫 氏
-コンピューターを使うと非人間的な関係に陥ると思われがちですが、BIMは逆にコミュニケーションを活性化させますね-
建築本部BIM推進室
副課長兼
設計本部プロジェクト設計部
副課長
浅利 徳男 氏
-現在ARCHICADを使ってBIM案件を進行中。チームワーク機能は、ここでも驚くほど機能していますよ-
設計本部設計部
副課長
青山 康英 氏
-チームの雰囲気が良かった。上下関係なく若手も言いたいことが言える環境の中で、新人が持てる力を発揮できましたね-
設計本部プロジェクト設計部
副課長
橋本 廉太郎 氏
-上流で作った斬新なデータを見ても、皆前向きで”こんなもの出来ない”という人が一人もいなかったことが勝因の一つです。-
設計本部設計部
主任
平賀 恵子 氏
-予備知識なしで参加したので、逆に先入観なく取り組めた感じです。設計の形も変わっていくのだなと感じました-
建築本部BIM推進室
副課長
中沢 英子 氏
-各メンバーが自分の持ち場をしっかり守ったので、進行はとてもスムーズでした。-
建築本部BIM推進室
大島 史顕 氏
-BIMでも、重要になるのはやはりコミュニケーション。これを密にしていくことがBIMを成立させる根幹ですね-
BIMだからこそ可能なデザインを
「実は当社では、10年前からBIMの研究に取り組んできました。そして実用化に必要なBIMツールの成熟を持って、この春BIM推進室を創設。 ARCHICADなど、複数の3次元CADによるマルチプラットフォーム体制をベースに本格的な普及を開始したのです。今年のBLTに参加を決めたのもこの時期でした」(一居氏)。
まさにそれは、一気に動き始めた同社のBIM戦略の試金石ともいえるイベントだった。しかも、日本のBIMを牽引する大手企業が顔を揃える激戦必至のコンペに対し、一居氏らはあえてまったく新しいアプローチで挑もうと考えたのである。
「前回、前々回の情報は聞いていましたが、”これまでと同じやり方では結果を出せない”と皆で話し合っていたのです。むしろ、”どれだけ挑戦できるかを試してみたいね”と。それが審査側の”BIMだからこそ可能なデザインを見たい”という趣旨にマッチしたのではないでしょうか」(橋本氏)。
新たな可能性を生み出すパラメトリックデザインへの挑戦
彼らが重視したのはライブ感だった。48時間ですべてを創るBLTをライブと捉え、事前の仕込みは極力行わずに、限られた時間の中で真剣勝負することで、予定調和とは対極的なライブ感あふれる建築づくりを目指したのだ。そして、その実現のために選んだ手法がパラメトリックデザインだった。スケッチを描きモデリングしていくのではなく、多様なパラメータを組み合わせ、シミュレーションを繰り返すことで、新しいカタチを生み出そうというのである。まさにBIMだからこそ可能なデザインと言えるだろう。
「とはいうものの、偶発的に良いモノができるのを待つわけではありません。設計者の視点でコンセプトと重ね合わせ、最適なパラメータを見出し、最良のデザインへ昇華させていく・・・皆で議論する中で見えてきたのが、そういった手法でした」(浅利氏)。
準備はまず参加スタッフ集めと、ツールの習熟から始まった。メンバーは一居氏らを中心に設計部門で公募を行い、モデリング部隊には今期入社の新人を含め若手を起用。メインツールにはARCHICADが選ばれた。一方、同社としての初の試みとなるパラメトリックデザインについても、48時間でデザインを展開できるシステムとして仕上げる必要があった。そこで採用するアプリケーションについて検討した結果、海外ソフトを選択し、試行錯誤しながらシステムを組み上げ、コンペ当日を迎えたのである。
若手の力を引き出したチームワーク機能
「課題は事前に発表されていましたが、与条件が決まったのは当日でした。しかし、戸惑うことはありませんでした。無数のパラメータの組み合わせから最適なものを選ぶ手法も想定通りに進行したと思います」(一居氏)。
だが、エスキースを固め、プランニングしていくこのデザインパートに最も時間をかけたかったため、どうしても後工程にしわ寄せがくる。必然的にARCHICADでのモデリングや連携するシミュレーションへの時間配分は厳しくなっていった。しかもこのARCHICADによるモデリング作業を担う6名の新人は、僅か2日のARCHICAD研修を受けただけで実践投入されたのだ。
「操作性に優れたARCHICADだからこそ可能だったのかもしれません。実際彼らのARCHICAD活用は予想以上で、初めて使ったチームワーク機能も信じられないくらい機能しましたね」(浅利氏)。
まさに、そのシームレスな環境下で、新人たちは最適なコンビネーションを自ら創り出し、先輩たちが目をみはるような速さでモデルを作り上げていったのだ。無論それでも設備等の最終工程は厳しい時間との闘いとなったが、それでもゴールした段階で、チーム全員が達成感を感じていたという。
「初期デザイン~パラメトリックデザインに時間をかけられましたし、コンペ趣旨から見ても無事にゴールできれば結果を出せると感じていました。一番の成果は初めて使ったツールでコラボ・連携し、機能も十分活かせたことですね。スタッフには自信になったはずですし、今後はスムーズに水平展開していけるでしょう。また、コンペの勝利以来、営業や若手を中心にBIM活用の機運が盛り上がっているのも大きな成果です。これを機に我々もBIM普及の歩みをより一層加速しますよ!」(一居氏)。
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