株式会社北海道日建設計
初めてのBIMプロジェクトで実施設計に挑戦。BIMx、モルフツールも欠かせないツールに

株式会社北海道日建設計

北海道日建設計は、初めて手がけたBIMプロジェクトで実施設計までをARCHICADでやり遂げることに成功した。このプロジェクトを通じてBIMモデルを図面化するテンプレート整備や、「BIMx」でのプレゼンテーションに自信を深めた同社は、2015年に意匠・構造設計を100%BIM化することを目指した取り組みを続けている。この取り組みについて、同社のBIMプロジェクトを推進する大門氏、奥田氏にお話しを伺った。

株式会社北海道日建設計

設立 : 昭和31年5月7日

事業内容 : 建築の企画・設計監理、都市・地域計画およびこれらに関連する調査・ 企画コンサルタント業務 ほか

代表者 : 代表取締役社長 菅野 彰一

所在地 : 札幌市中央区大通西8丁目2番地 住友商事・フカミヤ大通ビル3階

HP : http://www.h-nikken.co.jp/

設計室
大門 浩之 氏

設計室
大門 浩之 氏

設計室
奥田 春香 氏

設計室
奥田 春香 氏

ARCHICADの導入1年で金融機関のビルに挑戦

北海道日建設計はBIMが徐々に話題になり始めた「BIM元年」と呼ばれた2009年頃から検討を始め、2010年にARCHICADを導入した。
「ARCHICADは取っつきやすく、すぐに使えるようになりました。その半面、奥深さもあります」と大門氏は導入時の感想を語る。最初は建物のモデルを入力して外観やボリュームのチェック、そしてプロポーザル用のプレゼンテーション資料の作成などから少しずつ、現在に至るまで実務でのBIM活用の拡大を続けている。特にプロポーザルに関しては圧倒的にARCHICADを利用することが多いのだと言う。実際、数時間でモデルを作成し、1~2日でプレゼン資料を作ることも可能だそうだ。

導入後から1年ほどたった2011年の初め、大門氏と奥田氏を中心とする3人のチームで、BIMで札幌市内の苫小牧信用金庫のビルを設計することとなった。 金融機関として地域のランドマークとなるよう、インパクトあるファサードが特徴的なこの建物は、断面が150mm×500mmのプレストレスト・コンクリート(PC)をルーバー状のアウトフレームとして大胆に使い、建物の内部には柱が出ないよう、工夫がされている。

「BIMによる説明は分かりやすい」と施工者にも好評

「PC部材の寸法や太陽光を考慮したピッチ、リブの間隔などを確認するのに、ARCHICADによるモデリングがとても役立ちました」(大門氏)
「PC部材には外断熱を採用していますが、途中から内断熱に変わっています。複雑な部材の取り合いや熱伝導の経路となる『ヒートブリッジ』などを施工者に説明したときにも、分かりやすいと好評でした」(同氏)。

もちろん、初めてBIMでチャレンジする実務物件としての苦労もあったそうだ。例えばARCHICADで設計した建物のモデルから、平面図や立面図、断面図などの図面を作成するためのテンプレート作りである。
「テンプレート作成には、日建設計の協力を得ることかできました。またグラフィソフト社からも1~2カ月に1回ほど、アドバイスしてもらいました。その結果、2011年の9月ごろにはさらにBIMモデルの詳細化を進めて、詳細図までを作成できるようになりました」(大門氏)

プレゼン用資料の作成を行った奥田氏は「これまでは図面を基に一からCG作成用のソフトにデータを入力していましたが、ARCHICADで作った建物モデルがあることでレンダリングソフトの『Artlantis』を使ったCG作成作業はとても楽になりました。従来のようにパースを作成するだけではなく、『BIMx』も含め、バライエティに富んだ提案が可能になることが実感できました」と振り返る。

また、PC部材の複雑な接続部なども3Dで視覚化し、現場での注意点などを共有することにより、設計のコミュニケーションを高めることにも成功した。結果的に、最初のBIMプロジェクトで施工者にも「こんなに分かりやすい説明は初めてです」と喜ばれ、スムーズに竣工することとなった。

PC部材の詳細構造の説明に使用したARCHICAD BIMモデル
PC部材の詳細構造の説明に使用したARCHICAD BIMモデル
ARCHICAD BIMモデル
ARCHICAD BIMモデル
竣工写真

BIMxやモルフツールの活用が広がる

初めてのBIMプロジェクトが無事に成功したことで、北海道日建設計の社内でもさらにBIM活用を進化させる取り組みを行っている。 BIMxは別のプロジェクトでも活躍している。「例えば劇場ホールのプロジェクトでは様々な観客席の場所から、大人から子供までのそれぞれの目線でステージがどのように見えるのかをウォークスルーで示したり、観客席が満席の場合はこう見えるなど、レイヤーに分けてクライアントへお見せしました。また、小学校のプロジェクトで建物に吹き抜け構造を採用した時も、安全性を具体的に提示することができました」(奥田氏) このような提案をパースで行うとすると、通常、何枚も作成しなくてはならなくなってしまうが、BIMxのプレゼンにより、施主との合意形成を加速している。
「設計内容が分かりやすいので意思決定も早くなりました。BIMxによるプレゼンを施主に行うと、その後からもぜひやってほしいと頼まれるほど好評です」と奥田氏は説明する。

ARCHICAD16に搭載された新機能、「モルフツール」も大活躍している。直感的なモデリング操作に加え、3次元のBIMパーツを「モルフ要素」に変換し、形や寸法を自由自在に変えた後、再度、属性情報を与えてBIMパーツ化できる等、柔軟性の高い機能である。「モルフツールはとても使いやすくて、重宝しています。形状の角を落とすなどの操作も簡単なので、家具や階段などをカスタマイズするのに役立っています」と奥田氏は語る。

苫小牧信用金庫 竣工写真
苫小牧信用金庫 竣工写真
ARCHICADで作ったCGパース
ARCHICADで作ったCGパース
ARCHICADで作ったCGパース
ARCHICADで作ったCGパース

3年で意匠、構造の設計を100%BIM化する計画

こうしたBIMによる成果も後押しして、北海道日建設計では2012年に意匠設計部門の若手設計者10人にARCHICADの導入教育を行うとともに、BIMでの設計用に最新鋭のワークステーションを配備した。ARCHICADのライセンス数もネットワーク版を増設し、ARCHICADを使って実務を行っている。
「従来通りの方法で実施設計を行うこともありますが、設計変更の度に各種図面を修正するという作業は、一度BIMを体験すると、非常に骨の折れる作業だと実感しています。また、BIMを使うことによって、効率化され、時間が短縮できた分を「質」を向上させることに回すことができます。私たちだけではなく、お客様に対してもメリットが出せると考えています」(大門氏)
「2013年からは3年計画で意匠設計と構造設計を100%BIM化していく予定です」と大門氏は今後の予定を説明する。
北海道日建設計は、日建設計や日建ハウジングなど、日建グループと毎月ネット上で 会議を開き、BIMの活用方法やテンプレートなどのBIM資産を共有するなどの情報交換を行っている。
「プロポーザルでも建物の環境性能に対する関心が高まっているので、今後はARCHICAD 16に標準搭載されたエネルギー評価の機能や、高画質のCG/動画などの作成にもチャレンジしていきたい」と大門氏は将来の抱負を語った。

【撮影:酒井広司】

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