株式会社 平島弘之+TEAM28
一人の建築家が、建築家としてのクリエイティヴを全うするために。 ARCHICADとBIMで実現できること

株式会社 平島弘之+TEAM28

建築家 平島弘之氏が主宰する平島弘之+TEAM28は、徳島を代表するアトリエ系設計事務所の1社である。特に学校や病院などの公共建築について豊富な実績を持つ同社は、徳島という地方都市にありながら常に世界を意識。設計3次元化やBIMについても地域の業界をリードすべく、いち早くARCHICADを導入し、果敢な取り組みを進めている。実施設計での活用からスタートしたという異例のARCHICAD導入の経緯とその狙いについて、平島氏、谷氏、廣瀬氏の3氏にお話しを伺った。

株式会社 平島弘之+TEAM28

創業 : 1984年7月

事業内容 : 建築設計・監理、都市・地域計画、 ランドスケープ、関連コンサルティング業務

代表者 : 代表取締役社長 平島 弘之

所在地 : 徳島市

従業員数 : 15名

代表取締役社長・建築家
平島 弘之 氏

代表取締役社長・建築家
平島 弘之 氏

企画TEAM係長
谷 紀明 氏

企画TEAM係長
谷 紀明 氏

計画TEAM係長
廣瀬 諭志 氏

計画TEAM係長 廣瀬 諭志 氏

設計事務所としての2つのテーマ

 日本のBIMは、これまで大手ゼネコンと組織設計事務所が牽引してきたように見える。だが近年、その様相は大きく変わり始めている。地域のアトリエ設計事務所が次々とBIMに挑戦し始めたのである。しかも建築家の創意が強く反映されるアトリエ系事務所では、その導入目的や活用手法も一様ではない。中でも平島弘之+TEAM28の取り組みは、”アトリエ系事務所にとってのBIM”ということを強く意識している点が大きな特徴だ。 

「世の中は、映画もテレビも3Dが普及しているにも関わらず、建築は未だに明治からの手法である2次元主導型が主流です。昔は”ラジオ”、それが今では”テレビ(映像)”に置き換わり、一般の人も”映像”を見て理解する時代になりました。つまりコミュニケーションは、”文章”から”絵”、そして”映像”への変遷を遂げています。この中で建築は、多くの人手を掛けながら、旧来の手法に拘りすぎているように感じるのです」。と清水氏は説明する。だからこそBIMという新しい概念が登場すると、清水氏はすぐにそれが持つ可能性の大きさにいち早く気が付いたのだという。そして、鈴木氏らにBIMツールの導入検討を命じ、その結果、選ばれたのがARCHICADだったのだ。

「当社には設計事務所として2つのテーマがあります」と平島氏は語る。BIMの導入やARCHICADという選択にも、これが大きく関わっているというのだ。「一つ目は”コンペに勝つ事務所”を目指すこと。建築家の仕事はコンペで取るべきものであり、私たちはコンペに勝たなければなりません。そしてもう一つは”常に世界を意識する”ということ。今の時代、地方でも、いや地方だからこそグローバリズムを意識しなければなりません。”世界基準”の視点が欠かせないのです」。この2つのテーマを追求し続けたことが、設計3次元化やBIMへ向かう建築業界の流れを同社に先取らせ、ARCHICADを選択させたのである。とはいえ10年前の初導入時はさすがに時期尚早の観は否めなかったようだが、業界でBIMを目指す流れが強まり始めた2年前、平島氏は眠らせていたARCHICADを再始動させたのである。機を見るに敏な展開だが、そこには自身の強い反省の思いがある。

「実は当社では最初のCAD導入が遅れて、非常に苦労した経緯があります。周りがやっていることを無視すれば取り残されると実感したのです。それどころか、周りがやっていないことをやらなければ、先んじることなど絶対に不可能です。私にとってARCHICAD再始動とBIMへの挑戦は必然だったのです」。

実施設計で使えてこそのBIM

小規模な事務所での3次元CADの導入は、一般にまずプレゼン分野での活用から始まることが多い。だが、同社の場合は、このファーストアプローチもきわめてユニークなものとなった。プレゼン用途は後回しにして、当初から実施設計における活用を目指したのである。導入を担当した谷氏は語る。

「その時やっていたのがS造の養護施設で、基本設計やプレゼンにそれほど時間を掛けられない物件だったのです。そこで、この際だからARCHICADを実施設計で使ってやろうと考えました。BIMをやるからには、実施設計で使えなければ意味がないと当初から考えていましたからね」。

もちろん実施設計への展開はさすがにそれなりの時間が掛かったが、とにかく谷氏らは初挑戦で実施設計までやり切った。2件目はRC造の学校建築で、これも実施設計までをARCHICADでトータルに仕上げたのである。こうした経験が、谷氏らにとって大きな自信に繋がったであろうことは想像に難くない。

「実施設計までやってあらためて実感しましたが、ARCHICADならではの建築専用機能や豊富なライブラリは非常に便利ですね。確実にスピードアップに繋がりました。また、詳細図作成で使う2Dの操作感も、慣れるとそれなりに使いやすいと感じます。2D/3Dを問わず、早くARCHICADで完全統一したいですね」(谷氏)。一方「そもそもパソコンは苦手です」と笑うのが廣瀬氏だ。谷氏と共にARCHICAD活用チームの1人である。

「2D CADで断面図や立面図を作るのも苦手なので、ARCHICADがモデルから切り出し簡単に仕上げられる点はものすごく気に入りました。3次元だと設計も図面作りも楽しくなりますね。楽しすぎてつい作り込み過ぎてしまうところが、ある意味難点なのかもしれません(笑)」。

ARCHICAD 実施設計図1
ARCHICAD 実施設計図1
ARCHICAD 実施設計図2
ARCHICAD 実施設計図2

アトリエ設計事務所にとって有利な時代

現在、同社ではBIMを次のステップへ進めるべく、平島氏とARCHICADチームとの連携のさらなる高度化を模索している。平島氏自身はCADもメールも使わないが、同社の設計は2D/3Dともすべて平島氏が描いたスケッチを基に行われる。そして平島氏がその進行過程をきめ細かくチェックしていくことで、高いクオリティを生み出しているのだ。

「ARCHICADの場合プランは3Dモデルの形で表現されるので、わかりやすい反面ディティールを把握したり、チェックしたりするタイミングが難しいのです。今後は、設計ワークフローや社内コミュニケーションのあり方から考え、変えていく必要があるでしょう」。しかし、そうした社内イノベーションの手間を掛けてもBIM導入の価値は十分にあり、ARCHICADの活用を拡大していかなければならない、と平島氏は確信している。 

「建築は絵画、音楽と並ぶ三大芸術の一つですが、唯一ひとりでは実現できない芸術です。施工や仕上げまでを建築家一人で行えれば理想的ですが不可能です。ではそこを”やりきる”ためにどうすれば良いのか。そう考えると施工体制・技術の管理が重要になってきます」。そこでコミュニケーションツールとしてのARCHICADが大きな意味を持ってくるのだと平島氏は考える。建築家が、建築家としてのクリエイティヴを全うするためのBIMという発想がそこにある。 

「このICT時代はアトリエ設計事務所にとって有利な時代です。BIMなどを上手く使いこなせば、建築家が建築自体で勝負できる。そこに優れた提案さえあれば、規模や組織は関係ありません。もはや大型プロジェクトも組織設計事務所だけのものではないのです。BIMを上手く活用すれば、我々も同じ土俵で勝負できるのですから」。

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