【レポート】Archicad 18 製品発表会

BIM Trend

グラフィソフトハンガリー本社Business Development VPのミクロシュ・スヴェーニ-ルクスよりBIMのトレンドを踏まえたグラフィソフトの戦略、また各国のARCHICADを活用した実プロジェクトの事例をご紹介させていただきました。

BIMトレンド
まずは市場調査から、現在のトレンドについてお話ししました。現場ではプロジェクト情報の可動性を通じて、チームコラボレーションを向上させたいという動きが増加しています。 また、ゼネコンやサブコンについては設計者や施主とBIMモデルを使用して密にコミュニケーションをとり、関わっていくということがトレンドになっています。プロジェクト情報フローが可能にすべき機能としてはBIMデータを現場へ持っていくこと、事務所と現場間でリアルタイムに双方向の情報にアクセスできることが多く求められています。

GRAPHISOFT SE Business Development VP Miklós Szövényi-Lux

グラフィソフトのビジョン
グラフィソフトのビジョンは、BIMサークルで表しています。BIMサークルはBIMオーサリングツール、BIMデータ管理、またBIMデータアクセスの3つの要素で構成されています。ARCHICADで利益を生み出すモデルを作り上げ、場所を問わずにアクセス可能なBIMクラウドの提供、またモバイルからのデータアクセスによるクライアント、現場、管理者間での瞬間的なコラボレーションを実現することにより、設計施工ワーフクローにおける統合的なソリューションを目指しています。

サクセスストーリー
現在世界各国でARCHICADが実プロジェクトで利用されています。House of the Year” by World Architecture News, 2006に輝いた「Aatrial House」を手掛けたKWK Promes(ポーランド)に続き、Sergey Skuratov Architects(ロシア)はARCHICAD17のパッケージ写真となったMosfilmovskaya Towersの企画、基本設計フェーズでARCHICADを利用しました。その他、Anshen + Allen(アメリカ)、KÖZTI(ハンガリー)をご紹介し、KÖZTI(ハンガリー)についてはサッカーハンガリー代表の試合や陸上競技会が多く行われているPuskás Ferenc Stadiumのリノベーション計画についてご紹介しました。


ARCHICAD18 製品発表

グラフィソフトジャパン株式会社 
プロダクトマーケティング 
トロム ペーテル

JOIN THE CREATIVE FLOW
ARCHICAD 18のメインテーマは「クリエイティブ フロー」。これは心理学の用語で、「フローとは、人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態」ということだといわれています。

BIMモデルの作成からBIMモデルの活用へ
ここ数年、我々はBIMモデルの作成にフォーカスをしてきました。ARCHICAD 16では自由な形状のモデリングを可能にするモルフツール、17ではより詳細なモデルを、より簡単に作れる優先度ベースの接続が主な新機能でした。

今回、ARCHICAD 18ではモデルの作成から、その活用へとフォーカスをシフトしました。BIMが使われるようになった当初は、主に可視化の目的で使用されていましたが、その後、モデルから図面の作成が可能になり、より詳細なモデルの作成が可能になるとともに、分野間のコーディネーションが重要になってきました。 ARCHICAD 18では、モデルの可視化、設計図書の作成、そしてモデルベースのコーディネーションにフォーカスしています。

3つの新機能
モデルの可視化については、完全に新しくなったワールドクラスのレンダリングを実現。設計図書の作成・管理については、設計変更そして設計図書の改訂管理をモデルベースでサポートする改訂管理ソリューションを提供。そして、コーディネーションについては、より円滑な、新しい OPEN BIM ワークフローが紹介されました。

レンダリング
難しい設定をすることなく、用意されたプリセットからデフォルトのシーンを選択するだけで、さまざまなイメージを作成できます。もちろん、外観のシーンだけではなく、インテリア用のシーンも用意しています。内装のレンダリングは、照明などの設定が特に難しく、それによってレンダリングの仕上がりが大きく変わってしまいます。しかし、ARCHICAD 18のシーンを使えば、昼間のインテリアや、夜の内装のレンダリングもワンクリックで作成できます。デフォルトのシーンでも満足な結果が出せない場合、マニュアルモードに切り替えることによって、Cinema 4Dのエンジンのすべてのパラメータを自由に設定することができます。

改訂管理
建築の設計図書は一度提出して終わりではなく、さまざまな理由で工事が終わるまで変更が続きます。これらの変更の内容をすべての図面に反映させる必要があり、誰が、いつ、その変更をしたのか記録を残す必要があります。さらに、変更記録を、関係するすべての図面に記載し、変更された図面を関係者に渡さなければいけません。今までは手動での作業で、ミスなどの可能性も高く、作業が終わってもその再確認などで非常に時間がかかりました。設計者としてはこのような事務的な作業は最短の時間で終わらせ、本来の仕事であるデザインにフォーカスしたいと思うでしょう。 ARCHICAD 18の新しい「変更マネージャ」を使って、「変更項目」として登録します。登録された「変更項目」から、その変更に影響されるすべての図面に自動的に改訂記録が記載され、改訂番号も自動的に更新されます。 最後のステップとして、変更後の設計図書を作成する際には、ワンクリックで変更された図面だけを出力するオプションが追加されたので、楽に、そして正確に新しい図面を提出できます。

OPEN BIMのワークフロー
建設業界で、2次元コミュニケーションの標準となっているDWGフォーマットですが、ARCHICAD 18でも、DWGの最新バージョン、DWG2014に対応しています。さらに、2次元のコミュニケーションのもう一つの標準であるPDFフォーマットのさまざまな進化にも対応し、ARCHICAD 18ではレイヤーを含むPDFの出力や、インポートしたPDFの分解などをサポートし、より円滑なワークフローを実現します。 3次元BIMデータの世界的な標準はIFCフォーマットになっています。IFCデータが関係者同士のコラボレーションの中心になる中、そのデータの正確性がますます重要になってきています。BIMデータの正確性を確認するモデルチェッカーソフトなども発達し、モデルの確認結果を正確に、そして効率よく伝える手段が必要になってきました。ご紹介したいのが、ARCHICAD 18が新しくサポートするファイル形式のBCFファイル形式です。ここではArhiCADとSolibri model checkerを使用したデモンストレーションを行いました。


BIMcloudソリューション

BIMのメリット
建設のプロセスやパフォーマンス、コーディネーションの要望がある中で、データ管理とデータアクセスの2つをどのようにBIMcloudで実現しているかをご紹介します。BIMのメリットとして、設計者同士のコミュニケーションやデータ管理などがあげられますが、それを実現するのがBIMcloudです。単にデータを管理するだけであれば、ARCHICAD13のときからチームワークという機能がありました。チームワークについて簡単に説明しますと、それまで2次元ベースでファイルをバラバラに管理していたものを一つのモデルベースで誰が今どの作業をしているのかが一目でわかるようになる機能です。データの変更箇所のみを更新するため、外部からノートパソコンなどでアクセスする場合も快適に作業することができます。

グラフィソフトジャパン株式会社 
プロダクトマーケティング 
飯田 貴

大きな組織、細かなネットワークへの対応
まず、BIMcloudはサービスではなく、ソリューションです。これまでのBIMserverのチームワークの特性としてはリアルタイムでの安定したデータのやり取り、簡単な設定で操作が可能であることがありました。今回、拡張性、統合性といった特徴をもっているBIMcloudは、大きな組織、細かなネットワークの設定にも対応できるようになっています。一つのチームでのプロジェクトであれば、これまでのBIMserverで対応可能ですが、チームの数が増え、プロジェクトが大きくなるにつれて、サーバの数を増やしたり、管理をすることが必要になってくるとさまざまな問題が出てきます。BIMcloudではこれらの問題を解決することができるようになりました。ブラウザベースの管理で、一度設定した権限などを、さまざまなサーバーで使用することが可能となります。また、モバイルからも現在誰がアクセルしているかなどの管理ができます。他にも、アクティブディレクトリへの統合によって、社内のネットワークで使用しているIDやパスワードをそのまま使用してBIMcloudを利用することができ、また、データアクセスのスピードも向上しています。BIMxとの双方向のコミュニケーションが可能で、現場でBIMxを使用して確認した箇所を、メッセージや問題箇所のキャプチャとともにBIMcloudで作業中の設計者へ送信することもできます。