BIM/CIMとは?それぞれの意味や活用場面を詳しく解説

2024年12月25日

建設・建築業界で注目を集めるBIM/CIMは、建築物や構造物の情報を3次元モデルでデジタル化し、設計・施工・維持管理を効率化する取り組みです。BIM/CIMは、単なる3次元モデリングツールではなく、プロジェクト全体の情報を一元管理し、関係者間の情報共有や生産性の向上を実現します。本記事では、BIM/CIMの基礎や概念について、わかりやすく解説します。

目次

  1. BIM/CIMとは
  2. BIM/CIMの導入で、建設業界はどう変わるか?
  3. BIM/CIMに関する情報収集に役立つサイト
  4. まとめ

1. BIM/CIMとは

BIM/CIMの概念図

BIM/CIMの概念とは

BIM(Building Information Modeling)は「建物」、CIM(Construction Information Modeling, Management)は「土木」に焦点をあてた技術です。計画、調査、設計、維持管理のすべての段階においてデジタル情報を活用します。
ここでいうデジタル情報とは、2つの要素から成り立ちます。

1つ目が「3次元モデル(対象とする構造物等の形状を3次元で立体的に表現した情報)」です。BIM/CIMを活用することで、複雑な鉄筋の干渉状態なども視覚化され、問題点の確認などが容易になります。

2つ目が「属性情報(3次元モデルに付帯する部材や部品の名称や形状、寸法、数量などの情報)」です。3次元モデルに属性情報が連携していることで、様々な変更にともなう属性情報の更新が同期化して容易に行えます。

さらに必要であれば、説明書などの参照資料も統合できます。

BIM/CIMでは、これらをすべて統合し、プロジェクトのライフサイクル全体において効率化、高度化を図ることが目的です。

BIMとCIMの違いについて、わかりやすく説明

BIMは建築を対象とし、主に建物の設計・建設・運用管理に活用されます。一方、CIMは土木を対象とし、道路、橋梁、トンネル、ダムなどインフラの整備で利用されます。

1)BIM

BIMは、建物の建築に特化したデジタルモデルを作成し、そのモデルを活用して設計・施工・運用を管理する手法またはプロセスです。BIMには、下記のような特長があります。

・3次元デジタルモデル
建物の形状、構造、設備などを詳細に表現した3次元モデルを作成。

・情報の一元化
3次元デジタルモデルには寸法、材料情報、コスト、施工プロセス、保守情報などが含まれ、プロジェクト関係者間で情報をリアルタイムで共有できる。

・建物のライフサイクル全体をカバー
設計・施工段階だけではなく、建設後の運用や保守も含む情報を活用できる。

ビルの建設中の工事現場の様子

2)CIM

CIMとは、土木工事におけるデジタルモデルの活用を指します。CIMは、主にインフラ(道路、橋梁、トンネル、ダムなど)を対象としており、規模が大きなプロジェクトに対応します。CIMの特長は、下記のとおりです。

・土木インフラに特化
道路、橋梁、トンネル、ダムなどの大規模なインフラ構造物が対象。

・地理情報や環境情報との連携
地形データ、地質情報、気象条件などを取り込み、設計と環境影響評価を統合的に行う。

・施工現場での活用
重機操作、施工計画、進捗管理、施工後の維持管理に活用される。

高速道路の工事現場の様子

建築にともなうライフサイクルを一元的に管理運用するBIMですが、建築家による、建築家のための、BIMとして開発されたツールが、 Archicadです。

2. BIM/CIMの導入で、建設業界はどう変わるか?

BIM/CIMの導入は、建設業界のビジネスモデル自体を変革する原動力となるものです。3次元モデルを核に、設計から施工、管理までのあらゆる情報をデジタルでつなぐBIM/CIMは、建設現場の生産性を大きく向上させるだけではなく、建設業界特有の「属人化」や、「暗黙知」の課題も解決します。

国土交通省では、2023年度までに小規模工事を除くすべての工事で、BIM/CIMの原則適用を推進し、建設業界は大きな転換期を迎えています。BIM/CIMがもたらす変化について、3つの視点から説明します。

働き方改革:ワークライフバランスの改善へ

BIM/CIMの活用は、建設業界の働き方改革に大きく寄与します。従来式の紙の図面に基づいた作業の場合は、関係者が同じ時間・場所で情報を共有する必要がありました。しかし、BIM/CIMは、遠隔から設計・施工データを共有、確認できます。

そのため、リモートワークやフレキシブルな働き方ができ、働きやすい労働環境の実現に貢献します。例えば、子育てや介護中だとしても、スキルがあれば、オフィスに行かなくても設計の仕事をすることができ、従業員のワークライフバランスの改善が期待できるでしょう。これにより、建設・建築業界の人材不足の課題解決にも貢献します。

現場の変革:業務の効率化・生産性の向上へ

BIM/CIMの導入により、プロジェクトの生産性が大幅に向上します。3次元モデルを活用することで、設計段階から施工・管理まで一貫したデータ管理ができ、手戻りや設計ミスを削減。さらに、設計・施工における干渉を事前に可視化し、変更コストを低減します。

BIM/CIMは、情報をリアルタイムで共有できるため、合意形成や意思決定のスピードがアップします。従来の図面での管理に比べ、BIM/CIMは情報が統合されているため、スケジュール管理やコスト管理も効率的に行えます。また、クラウド技術を併用することで、遠隔地でも同じデータにアクセスすることが可能となり、プロジェクト全体の生産性が向上します。

BIM/CIMは、設計段階から施工・管理までを一貫してデジタル管理することで、生産性を向上させます。設計ミスの削減、工程短縮、干渉確認による変更コストの抑制など、様々な効率化を実現します。

新産業の創出

建物のデジタルツイン(※1)を活用した新しいビジネスが誕生しています。不動産テックとの融合も進み、バーチャル内覧や室内環境シミュレーションなど、従来の建設業の枠を超えたサービスが展開されています。また、蓄積された建築データを活用したAI設計支援や、メタバース空間での建築設計など、次世代の建設産業を担う新事業も生まれつつあります。

デジタルツインのイメージ。仮想空間上でビジネスマンが挨拶をしている

(※1)デジタルツイン:現実世界から収集したデータをコンピュータ上で再現し、仮想空間上に現実世界と同じ環境を構築する技術

3. BIM/CIMに関する情報収集に役立つサイト

BIM/CIMに関する業界の取り組みがスタートするなか、情報収集に役立つ様々なサイトが公開されています。国土交通省からは、BIM/CIMについて理解を進めるための様々な資料が用意されています。

国土交通省のBIM/CIMポータルサイト、BIM/CIMパンフレットなど

国土交通省から公開されている、BIM/CIMに関するサイトを紹介します。『BIM/CIMポータルサイト』では、BIM/CIMの基本から最新動向を把握できます。また、『初めてのBIM/CIM』は、BIM/CIMのわかりやすい紹介パンフレットとなっています。さらに事例集では、BIM/CIMの具体的な事例を確認することができます。

国土交通省『BIM/CIMポータルサイト』
国土交通省 技術調査課『初めてのBIM/CIM』
国土交通省『BIM/CIM事例集ver.1』
国土交通省『BIM/CIM事例集ver.2』

4. まとめ

本記事では、活用が進むBIM/CIMについて、基本的な概念や導入による効果などについて解説しました。BIM/CIMは、建築・土木分野のデジタル革命を推進する基盤技術です。国土交通省による、2023年度からのBIM/CIMの原則適用化にともない、導入は待ったなしの状況です。建設業界のDXが必要不可欠となるなか、あらゆる建設プロジェクトでBIM/CIMの導入が進むことでしょう。

さらに、生産性の向上、品質の確保、技術の継承、働き方改革など、その効果は多岐にわたり、新たなビジネスチャンスも広がっています。

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Graphisoft / Archicad



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