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松江土建株式会社 × 有限会社落合建具製作所

BIM技術外部パートナー 山陰地方にある島根県は、全国で2番目に人口が少ない地。建築業界者も限られたこのエリアで、積極的にBIMの導入を進めているメンバーがいる。地域密着型の総合建設業である松江土建と、明治10(1877 […]

松江土建株式会社

学校・病院・事務所ビル・集合住宅・店舗などの建築工事の施工や、道路・河川・橋梁・トンネル・舗装・緑化・下水道など土木工事の施工を行う、地域に密着した総合建設業社。従業員数189人。近年、水質浄化技術・自然にやさしい濁水処理技術の開発を目的とした環境事業を新規に立ち上げた。

※役職や従業員数は取材当時(2024年4月)のもの

松江土建株式会社
https://www.matsue-doken.co.jp


所在地: 島根県松江市
代表: 平塚 智朗
創業: 1944年
業務内容:
土木、建築、下水道、トンネル、舗装、農業集落排水処理施設、水質浄化処理、造園、繊維補修補強、塗装、防水の設計施工、不動産開発・取引・管理、スポーツ施設経営及び前各号に附帯する一切の事業

松江土建株式会社
佐藤千尋さん

松江土建株式会社
中島光輝さん

松江土建株式会社
佐川優希さん

有限会社 落合建具製作所

4代続く、建具と家具の製作会社。技術力が高く、口コミだけで全国から依頼が入る。代表的な作品に、松江市役所の市長室の家具、議場の壁面化粧リブ格子、島根県知事室の建具・家具・壁面羽目板貼りなどがある。

有限会社 落合建具製作所


所在地: 島根県松江市
代表: 落合 稔
創業: 1877年
業務内容:
木製建具・造作家具の製作・取付

有限会社 落合建具製作所
落合稔さん

BIM技術外部パートナー

一級建築士
永瀬晴菜さん

山陰地方にある島根県は、全国で2番目に人口が少ない地。建築業界者も限られたこのエリアで、積極的にBIMの導入を進めているメンバーがいる。地域密着型の総合建設業である松江土建と、明治10(1877)年から続く老舗、落合建具製作所だ。松江土建建築部営繕・積算課設計担当主任の佐藤さんは、島根県に拠点を置くグラフィソフト認定のArchicad ユーザーグループ「山陰Archicadフォーラム」の運営スタッフでもある。

「より質の高いパースを作りたいと考えてArchicadを導入しました。当時、会社としても初めてのBIMの取り組みでしたが、ユーザー会の仲間と一緒に勉強することができたので、とても心強かったです」

基礎的な知識を修得した佐藤さんは昨年、Graphisoft認定Archicad BIM Manager の資格を取得した。

「BIMを複数人で使うためにはルールが必要なことを感じていました。講座では、誰がいつ見てもわかるデータにするためには何をするべきか、そのノウハウを学びました。入力する人、そのデータをチェックする人、指示を出す人、そういう役割づくりや、目的を設定する必要性があることも理解できました」

BIMプロジェクトメンバーに任命されたのが、現場の仮設事務所にデスクを構えるIT・技術部IT推進課主任中島さんと、現場サポートとしてArchicad上で入力や干渉チェック、数量算出などを行う建築部工事課佐川さんだ。

「まずはBIMで何をどこまで作るのか、各現場で目標を決めるのが目下の課題です」

ボーダーレスなBIMだからアイデアを形にできる。
建具・家具づくりに応用した落合さんの取り組み

松江土建の古くからのパートナーである落合建具製作所の代表・落合稔さんがArchicadを使い始めたのは、還暦間近の59歳。今では建具屋の枠を超えて、施工図まで描く。

「きっかけはコロナ禍。自粛期間中に、大きな住宅改装の製作家具・建具を受注したのですが、お施主さんが妊娠中だったんです。遠隔で話すことしかできず、どうやって表現したら伝わるのだろうと悩んだ時に、これだ!と」

この頃すでに、高校の後輩に勧められてArchicadを購入していた落合さん。3Dで図面を“見える化”することで、施主とデータ上で話を進めることができた。

「お客さんは専門的な話をしても当然わからないので、イメージが共有できることはとても大事。そのスムーズさ、ラクさを覚えて、BIMの世界にどんどんハマっていきました」

最初はわからないことだらけだった落合さん。佐藤さんも所属するユーザー会で積極的に教わった。「使い慣れた2DCADに戻りたくなるけど、そうすると成長しないので思い切って2DCAD断ちした」のが功を奏したという落合さん。落合さんに、BIMを使うメリットを尋ねてみた。

[メリット❶]
製造工程の前倒し=「フロントローディング」ができる

上流で構想している段階から、設計士と一緒に具体的なところまでビジュアル化して考えることができるので、建具職人の技術が活きた設計になる。
その結果、製造途中の修正回数が減り、完成までのスピードがものすごく早くなった。


[メリット❷]
修正作業がラク

BIMは平面図・立面図・3Dと全てにリンクしているので、修正が入ったとしても、平面図・立面図・3Dそれぞれに修正を加えずに、一度で一気に修正ができる。これまでは2-3日かかっていた作業が1時間程度で完了することも。


[メリット❸]
全国に仲間が増えた

ユーザー会に参加することで、名古屋在住のパートナーを見つけたという落合さん。離れていても、Archicad レギュラー版が備えている共有プロジェクト機能「チームワーク」を使えば、BIMcloud上で繋がることができる。ユーザーフェストという年に1回開催されるユーザー同士のフェスで新たな仲間が見つかることも。

隔月で開催される「山陰 Archicadフォーラム」勉強会の様子。


[メリット❹]
無理難題なリクエストにも応えられる

無理難題なリクエスト建具・家具の施工図のために始めたBIMだったが、やっているうちに閃いて、こうしたらもっとリアリティが出るんじゃないかとか、もしかしたらこれもできるんじゃないかなど、突き詰めていった落合さん。Archicadを応用して新たな領域にもチャレンジした結果、大量生産や複雑な案件にも対応できるようになった。

Archicadを使った建具・家具ができるまで

Archicadで作成したカラフルな立面図。落合建具ではこの図面をもとに、工場で部品を製作する。

Archicadデータをdxf変換して、NCボーリングマシンのソフトに転送。図面通りの形に部材を加工させる。

切り出し。社員は落合さんを含めて9人。大型機械を導入して少数精鋭で、年間100件以上の案件を請け負う。

レストランに納品するゴミ箱。素材は基本木材。特殊な機械を導入しているので、全国から注文が入る。

Archicadの応用 その❶
既存の梁ツールを使って
家具・建具の施工図を作成する

本来は梁として使う20あるツールをモデリングに使うことで、3Dモードから2Dモードへの編集やテクスチャーの使い分けがやりやすい。


スラブツールだと平面に戻らないと編集できないため、時間のロスになる。梁ツールを使うと、平面図・立断面・パース等、どの画面からでも幅・長さ・高さなど編集することができるため、感覚的にわかりやすく、修正作業の時間短縮につながっている。また、部材6面の各テクスチャーを変えることができるため、面毎に違う材料の場合でも簡単に表現することが可能。

Archicadの応用 その❷
外部ソフトを連動して
まるで写真のようなリアルなイメージを作る

D5Renderという外部ソフトと連動することで、人物を入れたリアリティのある空間設計を演出できるようになった。


某図書館のパース。

複合施設「さんびる文化センター プラバホール」

松江市にあるさんびる文化センターのリニューアルの際は、複合棚やマガジンラックについて、
監理者とBIMxで修正箇所の情報をやりとりした。


泊まれるジオパーク拠点施設「Entô」

島根県・隠岐諸島にある、ユネスコジオパーク認定の風光明媚な島の港に建つ島内唯一のホテル。
このホテルの木製建具を手掛けた。

コラボレーションした千茶荘の店舗リノベーション。
右上/落合さんが作成したイメージパース。
左 /竣工写真。
右下/BIMcloud上でのデータのやり取りは、「工作室」と名付けたフロアを地下に作成し、いったん作成した家具の概略モデルを格納。それを参考にしながら、目的の場所にてモデルを具現化する。

仲間がいてこそ発揮される
BIMが持つ無限の可能性

落合さんと佐藤さんはユーザー会で出会い、2022年から仕事のパートナーでもある。

「これまでは社内だけでBIMを使っていたのですが、2022年頃からBIMcloudを使って外部のパートナーさんたちとBIM上でデータをやりとりするようになりました」
と佐藤さん。例えば、佐藤さんが施主と打ち合わせをした内容をArchicadを使って入力すると、落合さんがそこに入っている家具の概略モデルをBIMcloud上で詳細に作りかえる、という流れ。データはアイスバーグ方式で、「工作室」という名前を付けて共有で保管する。

「今日はこの家具を作ったよ、と落合さんから連絡が入ると、チームワークのデータを見に行くんです。すると、私がArchicadで入力した四角い家具に棚までできていて。お互いに少しずつ詳細を詰めていきながら、BIMcloud上で家具を含めた建物がどんどん完成していく様子を見るのは感動的です!」

3Dで想いを伝え確認し合えるのは、効率的でもあった。佐藤さんは、社内のBIM活用を推進するために、BIMを使った事例を社内報で報告する。さらに効率よくBIMを活用できるように、外部から技術パートナーにも協力してもらっている。

「BIMは目的を持って使ってこそ力を発揮する道具です。データはいくらでも入るので、関係のないデータを入れても仕事量が増えるだけ。今はまだ、BIMを使うメリットやOPENにする意義などを社内報で啓蒙している段階。施工段階での使用は3Dモデルをベースに、必要なところで図面に切り出して、現場が情報を加えて業者にアウトプットしていく程度ですが、作図の作業量が減ったので、それだけでも現場の手間が減り、生産向上につながりました」

ただ今、少しずつ社内ユーザーを増やしながら、仲間と共に、施工BIMでどこまでできるか挑戦中だ。

会社を超えたBIMパートナー。BIMcloud上で、いつでもどこでも繋がることができる。

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