株式会社 大米建設
ARCHICAD 導入1年でBIM 体制を確立 施工前作業の約50%効率化を実現!

株式会社 大米建設

那覇市の大米建設は沖縄の地で半世紀余の歴史を持つ総合建設会社である。宮古島生まれの企業だけに沖縄本島から宮古島や石垣島、周辺の島々にも広く展開。公共建築を中心に民間建築や土木工事まで請負っている。そんな同社は同時に新技術への果敢な取組みにも定評がある。以前から設計3次元化に取組み、昨年いよいよARCHICAD による本格的な BIM の活用を開始した。その狙いと現状について、建築本部長の新里氏と技術管理部の高良氏、建築部の朝倉氏にお話を伺った。

株式会社 大米建設

設立:1962 年5 月

本社:沖縄県那覇市

営業拠点:宮古本店、八重山支店

代表者:代表取締役会長 下地米蔵
代表取締役社長 仲本靖彦

事業内容:総合建設業

webサイト:http://www.yonewa.co.jp/

株式会社大米建設
取締役建築本部長
新里 智直 氏

技術管理部
購買・リニューアル課
兼 品質管理課
課長
高良 秀光 氏

建築部
建築課
朝倉 大地 氏

現場効率化を目標に BIM 導入を決定

「当社では新しい現場の立ち上げ時に、まず事前検討会を開いています。2D 図面を基に皆で建物の計画を共有し、それを作るために必要な段取りを練り上げるのです」。そう語るのは建築本部長の新里智直氏である。同社の建築部門を率いる新里氏は、新石垣空港旅客ターミナルビルの新築工事など、大型プロジェクトを多数手がけた現場のプロである。

「こんな建物になるからこういう仮設計画を行って……とブレイクダウンしていき、部分詳細図も手描きし収まり検討も行い、いわば私たちが長年蓄積したノウハウをそこで活かしていました。当社の品質管理や工程管理の大きなポイントでしたね」。しかし、業界がさらなるコストダウン・工期短縮へ向うなか、同社もより新しい手法の必要が高まっていた。そして、その対応策の1つとしてクローズアップされたのが BIM だった。

「3D CAD は、以前から他社製品を積算で使っていましたが、操作性に問題があり現場へは普及していませんでした。ところが昨年、セミナーでARCHICAD による BIM のデモを見たのです」。BIMという用語はともかく、具体的な活用を目にするのは新里氏らもそれが初めてだった。そして、それは彼らに大きな驚きをもたらした。

「つまり事前検討会で私たちがやっていたことが、パソコンの中でできてしまっていました。建物を3D で立ち上げて、最終形のカタチを元に足場やクレーン、重機を配置して、現場の工程を遡ってシミュレーションができる。それが非常に魅力的で、できるだけ早く導入したいと考えました」。新里氏の指揮のもと、BIM 導入へ向けた活動が始まった。まずは中核となる3D CAD の選定である。技術管理部の高良秀光氏は語る。

「3D CAD 製品は複数あったので、まずARCHICAD など2製品に絞ってデモを見せてもらいました。そして、操作性や金額面などさまざまな角度から検討したのです」。

一方、試用版で実際の使用感を検討した建築部の朝倉大地氏は語る。

「比べると ARCHICAD は直感的に操作しやすく、操作性がずば抜けていました。最初は手順書を見ながら使いましたが、ひと通り終えると基本操作は身に付いていた感じです」。そこで朝倉氏は当時動いていた物件を選び、試しにモデルを入れてみたという。

「初心者にどれくらいできるか試したのですが、問題もなく作れてしまったので逆に驚きました」(朝倉氏)。――こうして同社は2015年9月ARCHICAD を導入。全社へのBIM 普及を開始したのである。

事前検討会。問題点を見える化する
現場でも施主・業者への説明に効果的
スタッフへの説明。質問が相次いだ

1年弱で BIM 施工体制を確立

「ARCHICADによるBIM 運用を開始して、この9月で1年。BIM 担当も5名体制に拡大し、外注の力も借りながら既に13件ものBIM 案件を手がけました」(高良氏)。その内訳は公共が7件に民間が6件で、この1年の受注は特殊なものを除きほぼ全てBIM を活用しているという。つまり、同社はわずか1年で施工BIM の運用体制を確立したのだ。

「とはいえ、もちろん2D 設計が無くなったわけではありません」と新里氏は笑う。

「基本的には全てBIM でやろう、ということですが、中には2D CAD で纏めた方が早い物件もあります。しかしその場合も3Dモデルを必ず作り、詳細図面の段階で 2DCAD に切り替えます」。個々の物件や現場の性質に合わせた、この柔軟な応用がBIMの普及を促したのだ。その導入効果は既にはっきり現われている。

「事前検討会でBIM モデルによる工程シミュレーションができるようになったので、仮設の検討等も“今回は躯体より足場を先に組みましょう”とか、“では重機はここにセットして”とか、現場の職人たちとその場で意見交換しながら詰めることができます」。これは非常に効果的な手法だ、と高良氏は続ける。早い段階で的確な段取りを組めることで、人や機械の手配も合理的に行えるし、建物の完成イメージとプロジェクトの流れを職人たちと共有して的確に作業を進められる。手戻りは大きく減り、効率化やコストダウン、安全面も改善されたのだ。また、他方ではBIM による干渉チェックもきわめて有効だった。

「構造と意匠の収まりや構造体と設備の収まり、仮設と建物の収まりまで、多様な干渉チェックを素早く行うことで、いち早く問題を把握し対応を検討することができます」。そのため、特に収まりが厳しいと思われるような箇所は、先行してモデル化。いち早く問題を洗い出して協議しておくことで、施工図段階までに対応策を決めて、より確実な品質向上と効率化を図っている。

仮設計画。PC部材の揚重を検討
仮設計画に基づき重機を配置
新入社員教育。”だれでも”BIMに触れるように

実施図前作業を50%効率化

「もう一つの顕著な効果は、BIM による見える化です」と、高良氏はある保育園の建築プロジェクトの例を紹介してくれた。

「当時、この現場はまだ位置出し、遣り方の段階だったのですが、ARCHICAD でBIMモデルを作り、お客様に見ていただくことにしたのです。通常は施主様にお見せするのですが、この時は保育園を職場として使うことになるスタッフ……保母さんたちに見てもらいました」。

その効果は一目瞭然だった、と高良氏は言う。以前は2D 図面で説明していたが、この時はARCHICAD のウォークスルー機能2D 図面での説明はプラン自体がなかなか理解されず、意見も出にくかったが、ウォークスルーを使うと、保母さんたちから即座にビビッドな反応が返ってきたのである。

「“ここは排水設備が必要ね”とか“段差が不安”など多くの指摘をもらい、排水設備の増設や機器位置変更など、幾つか実際に対応できました。竣工後だったら追加工事になってしまったでしょうが、早く見せることで手戻りを最小限に抑え、施主様にも満足していただけたのです」。

こうしたBIM のさまざまな効率化効果により、実施図前の計画段階の作業は以前の50%以上も効率化できた実感がある、と高良氏はいう。この成果を受けて、同社は今後さらにBIM の活用を推進していく計画だ。

「BIM の普及が遅れ気味の沖縄ですが、今後は急速に広がっていくと思います。当社では新入社員教育にもBIM の講座を組み込むなどして、現場への普及を推進しますよ。また、BIM 化以前の建物も順次BIM モデル化し、維持管理やリニューアルのニーズに応える計画もあり、今後がますます楽しみです」 (新里氏)

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