日建設計×グラフィソフト
「よりよい建築」を実現するためにBIMが解放するデザインの可能性

日建設計×グラフィソフト

日建設計がグラフィソフトのBIMソフトウェア「Archicad」を本格的に導入してから10年目を迎えた。
その成果の1つ、阿蘇くまもと空港の事例を踏まえながら、両社の目指すBIMの現在と未来について対談してもらった。

株式会社日建設計

所在地 : 東京都千代田区

代表者 : 代表取締役社長 大松 敦

創業 : 1900年6月1日

設立 : 1950年7月1日

業務内容 :
建築の企画・設計監理、都市・地域計画およびこれらに関連する調査・企画コンサルタント業務

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株式会社 日建設計
執行役員 設計部門 プリンシバル
芦田 智之 氏

株式会社 日建設計
BIM マネジメント 室長
吉田 哲 氏

株式会社 日建設計
設計部門 アソシエイト アーキテクト
三輪 浩明 氏

株式会社 日建設計
デジタル推進グループ デジタルソリューションラボ コンサルタント
土田 えりか 氏

グラフィソフトジャパン株式会社
代表取締役副社長 
トロム ペーテル 氏

グラフィソフトジャパン株式会社
カスタマーサクセス ディレクター
飯田 貴 氏

グラフィソフトジャパン株式会社
カスタマーサクセス シニアBIMコンサルタント
佐藤 貴彦 氏

建築家に寄り添って
設計時の思考をなぞれるBIMに

芦田(日建設計):もともと当社でBIMを含めたデジタルデザインの取り組みを本格化するため、デジタルデザイン室というチームを立ち上げたのが2012年のことでした。翌年にはグラフィソフトとのパートナーシップを締結。2014年にBIM推進のための専門部署を分けて、現在のBIMマネジメント室に至ります。

トロム(グラフィソフトジャパン):日建設計とのパートナーシップについては、私も当初から飯田とともに担当させていただいてきました。ミーティングにも毎回のように出席して、とても密な関係を築くことができました。

芦田:当社でも「Archicad」そのものはそれ以前から使用していたのですが、本格的にBIM化を推進するにあたって当初からグラフィソフトにリクエストしていたのは、「建築家が使うためのBIMにしてほしい」ということでした。

吉田(日建設計):私たち設計者というのは、あらかじめ「ここが柱、ここが壁」と決めていくことはありません。あらゆる可能性を頭に思い描きながら、様々なスタディを繰り返して、データを入力しながら検討して少しずつプランの精度を高めていきます。そうした思考をなぞれるようなものにしてほしいと伝えました。

トロム:私たちベンダーとしては、ソフトの開発にあたって、ユーザー様のご意見、設計現場での使い方を取り入れていくことはとても大切なこと。そういう意味では、「こういう目的があるからこう使いたい」という明確なビジョンのある日建設計のような存在は本当にありがたく思います。

前列左から、株式会社 日建設計:三輪浩明 氏、芦田智之 氏、吉田哲 氏、土田えりか 氏/後列左から、グラフィソフトジャパン株式会社:飯田貴 氏、トロム ペーテル 氏、佐藤貴彦 氏

品質へのこだわりに対応して
BIMを改善、進化させる

芦田:建築家の思考としては、設計のひとつのゴールとして「美しい図面を描く」「きれいな矩計図に仕上げる」という面があります。図面の表現をいかに効率的に仕上げるか。昔から「BIMなんか使うからあの程度の図面しかできないんだ」といった声もしばしば耳にしてきました。でも、BIMはあくまでも1つのツールなのですから、きちんと正しく使えば質の高い設計は十分にできるんです。現に、社内の優秀な設計図書を表彰するイベントでは2年連続でBIMを使用したプロジェクトが受賞しています。

吉田:当社では2018年の年末にBIM100%という目標を掲げました。それから3年ほどで設計担当者は全員BIM研修を修了して、受注案件のうち、4割くらいまではBIMを利用するようになりました。ただ、基本設計の段階では変更が多いので、BIMの操作、処理が追いついていない部分もあります。設計者のスキル不足もあるし、BIMの仕様が作業にマッチしていないところもある。無理をせずに使えるところでまずは使っていこうという姿勢です。

飯田(グラフィソフトジャパン):私と佐藤はユーザー様のサポートをする立場ですが、日建設計はスキルの習得が早いですね。楽しそうに、無理なく使いこなしているという印象があります。BIMはただ生産性を上げるだけではなくて、クリエイティブな、よりよい建築を実現するためのツールでありたいと思っていますので、そのような姿勢は嬉しく思います。

佐藤(グラフィソフトジャパン):BIMはこれからもっと多くの多様な立場のユーザー様に使っていただくようになるわけですから、ツールの操作が負担になってはいけない。ツールを使ってどんなことができるか、そういうところを大切にできるような環境を実現できるよう、サポートしていきたいですね。

トロム:海外と日本におけるいちばんの違いは、求める品質のレベル。日本のほうがこだわりが強いように思います。海外のユーザー様だと、BIMでできないことがあると、妥協したり別の手段を探します。しかし、日本の場合は「なぜできないのか」を追求する。それがBIM普及のスピードを遅くする面もあるのですが、一方でBIMを改善し、進化させている面も大いにあると感じています。日建設計のように意欲的な取り組みを続けていくうちに、日本のBIMのレベルも世界水準にまで到達するはずです。

意匠設計と設備設計の連携で
業務の効率化、品質向上に貢献

三輪(日建設計):2021年1月に着工した阿蘇くまもと空港 新ターミナルビルのプロジェクト。この案件では、基本計画段階から検討、打ち合わせ、申請、現場変更対応等、すべて1つのデータで進めました。リアルタイムで変化するBIMデータを、検討や打ち合わせ資料として利用できる等、各種省力化によって本当に時間をかける必要のあるところに時間を使うことができています。発注者や施工者、メーカーなど様々な立場の人と3Dモデルをもとにイメージを共有しやすいので、多くの人が関わる空港のプロジェクトでは非常に有効です。関係者の想いをかたちにするために、曖昧なイメージで進めない、BIMデータで攻めることが大切です。

土田(日建設計):私はこのプロジェクトでは設備設計の立場で携わったのですが、グラフィソフトジャパンの佐藤さんに相談しながら、意匠設計と設備設計の連携に取り組みました。「Archicad」内にモデルとリンクした設備諸元表・計算書を作成したことで、意匠図の変更に合わせて自動的に計算結果が修正されるようになりました。

佐藤:設計変更が起こる度に設備設計側で毎回拾い直して作成していた諸元表や設備計算書が、その都度自動変更されていた良い事例でした。

芦田:これまではBIMの「形状」を重視して3D CADの如く使うことが多かったように思います。しかし、設備設計では「情報」のほうが重要になる。この視点は申請書類の作成などにも役立つはず。当社では2022 年から、社内のデジタル関連のチームを再編して、設計部門の中にデジタルデザイングループという部署に統合しました。今後も業務のプロセスに多面的にBIMを取り入れて、サービスの質を高めていきたいと考えています。

トロム:今日は、日建設計の取り組みをうかがえて、とても参考になりました。このパートナーシップを通じて得た知見を広く発信し、さらなるBIM普及促進に取り組んでまいります。本日はありがとうございました。

阿蘇くまもと空港での「Archicad」活用例:パース作成の省力化


BIMのデータから設計者が作成した簡易3Dパース図を打ち合わせに活用。2次元の図面だけで打ち合わせるよりも、イメージを共有しやすかったという。

BIMデータをもとに外注した3Dパース。設計者から作成者への修正指示の手間が減り、従来よりも精確な仕上がりとなった。

Archicadの詳細情報はカタログをご覧ください

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  • 設計時の裏話や、BIMの活用方法など掲載
  • その年ごとにまとめられた事例をひとまとめに
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