三浦設計
“設計ツールとしてのARCHICAD”を核に進む小規模事務所ならではの設計イノベーション

三浦設計

夕日の美しさで知られる日本最西端の町、長崎市野母町。この町に拠点を置く三浦設計は、一級建築士 三浦豪介氏が主宰する個人設計事務所である。野母を愛しこの土地にこだわる三浦氏は個人住宅の設計を得意とし、施主の思いに的確に応えながら土地の気候風土を巧みに生かした家づくりで知られている。そんな同氏のクリエイティブワークを幅広くサポートしているのがARCHICADだ。小規模事務所にとってそれは最強のツールだ、と断言する三浦氏にARCHICADの活用法について伺った。

三浦設計

設立 : 1996年4月

代表 : 一級建築士 三浦豪介

所在地 : 長崎県長崎市

事業内容 : 住宅を中心とした建築全般の設計/リフォーム(改修)、増築工事の設計 ほか

HP : http://miurasekkei.jp

3次元そのものがアドバンテージ

三浦設計
代表
三浦豪介 氏

三浦設計 代表 三浦豪介 氏

「事務所がある野母町は、実は台風のメッカ。昔ほどではありませんが、今でもしばしば大きな台風がやってきます」。当然、家づくりでもこの台風対策がきわめて重要視される。木造からS造、RC造まで建築全般に幅広く対応している三浦氏も、主力は独自に研究した頑丈なRC造のローコスト・コンクリート住宅なのだ。だがもちろん、場所により台風対策も少しずつ異なってくる。たとえば長崎半島では厳重な台風対策が必須だが、台風の通路となる南西側を山に囲まれていれば木造でも対応できるのだ。同様に地形の問題も非常に重要だ。長崎は坂が多く傾斜地の土地が多い。施主から見せられて、思わず絶句するような敷地も珍しくないという。

「ですから私の家づくりは、まずそこに家が建てられるかどうか・建てられるならどういう家が可能でどういう家が必要か、詳細にシミュレーションすることから始まります。といっても競合の問題もあり、そればかりに時間はかけられません……。そこで威力を発揮するのがARCHICADなのです」。手描きしたスケッチを元に、いきなりARCHICADで3Dモデルを作り始めるのが三浦氏の基本スタイル。傾斜地のような敷地や日照に問題がある場合などは、先に土地だけを入力して、敷地の3Dモデルを作りあげてしまうことも多い。

「極端な傾斜地など3次元で見なければそもそも発想しにくいし、温熱環境を考えるには日照シミュレーション等も欠かせません。その上で基本計画を進めますが、ラフな3Dなら1~2時間でできるので、最初のプラン提案から3次元で作ってしまうのです。この段階から3Dで提案できるのは、この辺では多分うちだけでしょう」。それだけでも設計事務所として圧倒的なアドバンテージになる、と三浦氏は語る。プレゼン風景を見れば、それは一目瞭然だ。以前だったら2次元の図面で必死に説明しても設計意図を正しく伝えるのは大仕事だったが、ARCHICADを使うようになってそんなトラブルはなくなり、しかも施主の意思決定が段違いに早くなっているのである。

「イメージが的確につかめるし具体的に想像しやすいので、基本計画段階で施主が“この感じ良いです!” “もうこれで作りましょう!”となって、慌ててこちらがブレーキをかけることもあるほどです。特にBIMxやSkypeを駆使したデジタルプレゼンを行うようになって距離に関係なく提案し、より大きな安心感を提供できるようになりました」。

日照シミュレーション(右)と実景(左)
日照シミュレーション(右)と実景(左)
傾斜地における設計
傾斜地における設計
傾斜地における設計計画
傾斜地における設計計画

BIMx & Skypeで独自のプレゼン手法

BIMxによるプレゼンはARCHICADユーザにとってポピュラーな手法である。誰でも自由にダウンロードできるこのツールを使えば、ARCHICADで作ったBIMモデルを自宅のPCやiPad、iPhone等で見られる。しかも自由にウォークスルーしながら好きなアングルで確認できるのだ。このBIMxに、インターネット電話Skypeによる手法を加えたのが三浦氏の工夫だった。

「施主さんの自宅のPCと私のパソコンをSkypeの画面共有で結び、図面なりBIMモデルなり同じものを同じ角度で見ながら、説明するのです。こちらが視点やマウスポインタを動かせば施主の画面も同期する。お互いにハンズフリーなので臨場感もすごいんです。設計意図は確実に伝わるし、説得力が非常に大きいんですね。最近も、このシステムを使って五島列島にいる施主の仕事を、スムーズに進行できました」。もちろん画面共有によるプレゼン後は、施主自身がBIMxを駆使して心ゆくまで3Dモデルを歩き、確認して、満足するのである。実は以前は三浦氏が制作した建築模型を使っていた。この模型もしばしば施主に求められたが、1点もののエスキース検討用なのでなかなか譲れなかった。どうしてもと請われて仕方なく譲り、後で同じものを作り直すことさえあったと言う。

「模型を作る手間はもちろんですが、ウチの事務所は、模型材料を仕入れに行くだけで片道1時間もかかる田舎にあるので大変です。時間も手間もかかるこの建築模型を、作らなくて良いというだけで、非常に大きなメリットなんですよ。……そう考えると、ARCHICADは小規模事務所ほど役立つツールではないでしょうか。少なくとも私にとって、もはや“欠かせない武器”となっているのは間違いありません」。

BIMxを利用したプレゼンテーション

重要なのはまず設計者自身が使うこと

いまや三浦氏は、基本計画からプレゼンテーション、各種シミュレーションにプランの練り込み、そして図面作成や実施図の制作まで、一連の設計業務においてARCHICADをトータルかつフルに活用している。プレゼンやコミュニケーションのツールとしての威力は前段で紹介した通りだが、三浦氏の場合は、それ以上にトータルな設計業務を幅広く支援する設計ツールとして万全の信頼を置いているのである。

「設計者といっても、常に計画の全てを把握できているわけではありません。分かってないことも実は少なからずあって、現場に入って“あれっ?”となることもあるんです」。しかしARCHICADによる3次元設計の導入により、いまやそうしたミスは最小限に抑えられ、同時にさまざまな業務が格段にスピードアップされたのである。

「たとえば“窓”には、光を取込んだり景色を見せるといった機能があり、設計者は最初にその機能に基づいて配置していきます。すごい人ならこの段階で3次元が見えるのでしょうが、私には無理です。だから模型を作って検討し、作り直すという作業を何度も繰り 返していく工程が絶対に必要でした」。この手間のかかる作業を飛躍的に効率化したのがARCHICADだった。3次元モデルを生成して「見えなかった」空間を即座に形にし、三浦氏はこれを自由に動かし検討しながら、開口部を整理していけるようになったのである。そして、同様にしてさまざまな要素を3次元モデル上で検討整理して、1つのプランにまとめていく3次元設計により、三浦氏は圧倒的なスピードと確かな設計品質を両立させたのである。

このように、設計とプレゼンをシームレスに、しかも一気に行えるARCHICADによる3次元設計は、小規模事務所にこそ“うってつけ”のスタイルといえるだろう。

「重要なのは、これをオペレータでなくあくまで設計者自身が使う、という点にあります。ARCHICADは設計者が設計をするためのツール。人任せにしないで、まずあなた自身が触れてみてください。きっと設計スタイルそのものが変わることでしょう」。

木造住宅設計例(外観)
木造住宅設計例(外観)
木造住宅設計(軸組)のモデル
木造住宅設計(軸組)のモデル

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