学校法人 金沢工業大学
ARCHICAD を核に進む BIM 教育の最先端。 学生たちが実案件 BIM プロジェクトを体験

学校法人 金沢工業大学

金沢工業大学は北陸を代表する工業大学の1つである。創立半世紀を超える歴史を持ちながら多くの先進的な取組みでも知られる同学では、建築系学科にデザイン分野へ特化した建築デザイン学科を設け、いち早く ARCHICAD による BIM 教育も導入している。そして、同学科では2013年、学生が中心となって民間の実物件で BIM を活用する独自の BIM プロジェクトを実施した。このユニークな BIM 教育の狙いと背景について、プロジェクトを企画し学生たちを指導した下川雄一教授に話をうかがった。

学校法人 金沢工業大学

設立 : 1957 年

所在地 : 石川県野々市市

学部 : 工学部、情報フロンティア学部、環境・建築学部、バイオ・化学部

研究科 : 工学研究科、心理科学研究科

webサイト : http://www.kanazawa-it.ac.jp

意匠デザインのメインツールとして

学校法人 金沢工業大学
教授 博士(工学)
環境・建築学部 建築系
副主任
建築デザイン学科 担当
下川 雄一 氏

学校法人 金沢工業大学 教授 博士(工学) 環境・建築学部 建築系 副主任 建築デザイン学科 担当 下川 雄一 氏

「大学の建築学科といえば、通常は1学科でトータルに建築を学ぶ所がほとんどですが、本学では環境や構造を教える建築学科の他に、デザイン分野に特化した建築デザイン学科があります」。下川氏によれば、同学科は建築の計画や設計、都市・まちづくり、歴史も含め建築デザインに特化した教育を重視しており、特に3人のプロフェッサーアーキテクトを中心とした実践的な設計教育に定評がある。そんな建築デザイン学科では早くから BIM 教育に取り組んできた。実は下川氏自身 BIM を専門とし、90年代からこれを研究し続けてきたのである。

「当時から多様な CAD/BIM ソフトを試し教育法を模索してきました。97年頃に一時実験的に ARCHICAD を導入したこともありましたが、本格的な BIM 教育に着手したのはBIM 元年と呼ばれた2009年の少し前でした。BIM の重要性が叫ばれ、教育への導入が急務と感じたのです」。この時、下川氏は授業で使う BIM ツールを改めて選びなおした。すでにBIM ツールの選択肢も増えていたが、検討の末に選んだのはやはり ARCHICAD だった。

「私もいろいろなソフトに触れてきましたが、ARCHICAD は建築系 BIM ソフトの中でも最も歴史が長く、直感的に理解しやすい。これが一番の選定ポイントです」。とにかく ARCHICAD はニュートラルだ――と下川氏は言う。3D の見た目も、壁ツールや梁ツール、柱ツールなどのツール類も単純明快で、初めて 3D に触れる学生も理解しやすいのである。こうして ARCHICAD を選んだ同校は、グラフィソフトの学生・教員向けプログラムから ARCHICAD 学生版の無償ライセンスを学生全員が利用。また同教育機関向けプログラムにより、学内 LAN を利用して教室でもARCHICAD が使える環境を整備したのである。

「ARCHICAD による授業は空間メディアという科目で、いわば空間を伝えるメディアとしてのBIM教育を行っています。建築は3次元ですから、3D で考えて 3D で表現し、試行錯誤してもらおうというわけです。自分の好きな建築作品を ARCHICAD で再現し、それを基に新たな建築を提案し、プレゼンまで行うという内容です」。

こうして業界の先陣を切ってスタートした金沢工大の BIM 教育は急速に活性化し、やがて同学は BIM 教育に特化した大学としても知られるようになった。その評価を決定づけたのが、2014年にスタートした Toiro の「BIM プロジェクト」である。

学内打ち合わせ(意匠チーム+構造チーム+環境チーム)
学内打ち合わせ(意匠チーム+構造チーム+環境チーム)
施主へのプレゼンテーション
施主へのプレゼンテーション
建物内観(写真)
建物内観(写真)

実案件で BIM 活用を肌で体感してほしい

「建築には多様な分野がありますが、その幅広さゆえ授業は断片化されがちです。本来建築は総合的なものなのに……」。

そこで課外に学びの場を求め、建築をより総合的に学んでもらおうという試みが Toiro プロジェクトとしてスタートした。同じ思いを持った学生達との出会いから生まれたプロジェクトである。2014年に実施されたこの Toiro で、1〜2年生は家具製作や地元イベントの空間演出を、3年生は外部休憩所の設計や地域イベントを支援。そして、4年生と大学院生が取り組んだのが BIM だった。

 「とにかく実践の中で ARCHICAD を駆使し、BIM を使うことを肌で感じてほしかったのです」。そう語る下川氏によれば、当時の下川ゼミには BIM の学習に欲張りな学生が多く、その「もっと BIM を知りたい、使いたい」という熱気が背中を押したのだという。

「そこで工事実施を前提とする実案件を学生主体の BIM で進められたらと考え、まず指導役として地域の建築家の方を探しました」。下川氏が声をかけたのは、金沢市の建築家 吉村寿博氏(吉村寿博建築設計事務所 代表)だった。実は当時、吉村氏はまだ BIM 導入前の状況だった。つまり、下川氏は吉村氏自身のBIM 導入プロジェクトも兼ねようと持ちかけたのである。

早速、吉村氏の快諾を得た下川氏は、対象案件についても交渉を始めていた。下川氏がよく知る英会話教室で校舎新設の話が進んでいたのである。

「大きめの戸建住宅程のサイズで学生が取り組みやすいと感じたんです。また、施主ご夫妻がとても話しやすく、コミュニケーションを取りやすい方だったのも重要でした」。

1階 平面図
1階 平面図
展開図
展開図
BIMx による内観(玄関ホール)
BIMx による内観(玄関ホール)

総計17~18案のプランを制作&プレゼン

2013年11月、いよいよ8名の学生チームが動き始めた。建築家 吉村寿博氏の指示のもと、学生たちは施主へヒアリングし、旧校舎や計画敷地の調査を進めていったのである。

施主からは生徒を集める必要から「まず印象に残るデザインを」というオーダーがあり、その他与えられた条件を元に、学生たちは駐車場の配置計画や建物の企画設計案に着手した。個々に 3D モデルを立上げてプランを練り上げ、月1度全員が集まり、吉村氏の指導を受けることを繰返していったという。

「ミーティングでは、スクリーンに 3D モデルを投影して学生が説明する方法を人数分繰り返す。吉村さんが丁寧に指導してくださるので毎回5時間はかかりましたね」。もちろん建てることが前提だが、吉村氏はまず学生の思いやアイデアを実現可能なものへ昇華させることを重視したのである。こうして議論を重ねながら8案を5案に絞り込み、2014年1月、彼らは最初のプレゼンへこぎ着ける。

「BIMx によるウォークスルーと建築模型、そして設計図面を使い、学生自身がプレゼンを行いました。やはり、抜群にクライアントの反応が良かったのは BIMx でしたね」。このプラン制作&提案は、途中クライアント側の事情による建物の用途変更等のブランクも挟みながら約1年強にわたって続けられた。時にはヘッドマウントディスプレイによる VR プレゼンまで試しながら、学生たちが行った提案は総計17〜18案に及んだという。

「卒業設計等と重なるなど学生にとってはタフな日々でしたが、それだけ得たモノも大きかったと思います。最後は2案に絞り込み、施主に選んでもらいました」。

もちろんその後の基本設計も吉村氏指導のもと学生主体で行い、3D モデルデータは幅広く活用された。他研究室とのコラボレーションとして熱環境のシミュレーションや流体解析(風のシミュレーション)等へ応用されたのである。――同物件はすでに竣工し、教室の運営も始まった。“とても良い建物になった”と施主も喜んでいるという。

「学生たちはもちろん私自身にとっても、いわゆる Faculty Development として、非常に得難い経験だったと思っています。BIM 教育はさらに充実させていきたいですし、また BIMプロジェクトにも挑戦したいですね!」

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