株式会社がもう設計事務所
まず見せるため、伝えるための BIM 活用からより幅広く多彩なBIM 活用の道を目指す

株式会社がもう設計事務所

がもう設計事務所(千葉県船橋市)は、建築家 蒲生良隆氏が率いるアトリエ設計事務所である。教育施設や社会福祉施設、多彩なショールーム、工場や集合住宅に個人住宅まで幅広い建築設計を手がける同社は、施主のイメージを適確に具現化することを何より重視している。そのため早くからビジュアルなコミュニケーションの活用を進め、その流れの中でいち早く3 次元化に着手。全社でARCHICAD の活用を進めるに至っている。既に大きな成果を上げつつある3 次元化の取組みの詳細について、蒲生氏と主査の下山氏にお話を伺った。

株式会社がもう設計事務所

所在地:千葉県船橋市

代表取締役 蒲生良隆

設立:1995年4月

事業内容:建物の設計・監理、確認申請、耐震診断、内装デザイン、開発行為、特殊建築物定期報告他

webサイト:http://gamouado.luna.weblife.me/

株式会社がもう設計事務所
代表取締役
蒲生良隆 氏

株式会社がもう設計事務所
主査
下山伸明 氏

より質の高いコミュニケーションのために

  「最近多く手がけているのは幼稚園や保育所といった教育施設や高齢者向けの福祉施設、あとショールームもコンスタントにやっています」。そう語るのは、がもう設計事務所を率いる建築家の蒲生良隆氏である。蒲生氏によれば、他にも工場や集合住宅、個人住宅まで幅広く設計業務を展開しており、所員10 名体制で年間30 件を超えるプロジェクトを動かしている。「手がける建築ジャンルにこだわりはありませんが、お客様との質の高いコミュニケーションにはこだわっています。お客様の要望に耳を傾け、そのイメージ通りの建物を具現化。設計意図を分かりやすく伝え、正確に理解してもらうことを重視しているのです」。

 この「コミュニケーション重視」の観点から、同社では10 年ほど前からプレゼンテーションや打合せにおいて、ビジュアライゼーションの活用を推進してきた。蒲生氏の右腕として同社の設計現場を統括する主査の下山伸明氏は語る。「作図ではずっとフリーウェアの2 次元CAD を使っていたのですが、このソフトで簡単なパース画も制作していました。その後パース制作ソフトを導入。内外観のパースを作って、できる限り分かりやすく伝えることに力を注ぐようになりました」。

 しかし、当然ながらパース制作ソフトはパースオンリーで図面制作には使えない。建築ツールとしても機能面が大いに物足りず、実務では結局、2 次元CAD と併用するしかなかった。そこで、この不満を解消する新しいツールとして蒲生氏らが着目したのが、BIM であり3 次元設計だった。下山氏は語る。「2015 年頃、建築の設計業界でもBIM が話題になり、私たちも少しずつ情報収集を開始していました。前述の通り、2 次元CAD とパースソフトの併用に飽き足りなかったこともあり、まず3D のビジュアル的な活用に注目したのです」。

ARCHICAD で作成した「蛍雪学園」新園舎外観

波乱万丈のARCHICAD 導入

 こうした経緯を経て、とりあえずBIM ソフトの導入へと舵を切った蒲生氏は、下山氏とともにBIM ツールの調査を開始した。ARCHICAD を初めとするさまざまなBIM ツールの資料や試用版を取寄せ、各製品の体験セミナーや操作講習会等へも参加して比較検討を進めていったのである。

 「実は最初、私は主に業界シェアの問題から別のBIMソフトを選ぶべきだと思っていました。しかし、実際に操作してみると意匠設計という点で明らかにARCHICADの方が優れていて……どちらを選ぶべきか迷っていたのです」(下山氏)。一方、ARCHICAD を推していたのは、こちらも講習会に参加して両製品の使い心地を試していた蒲生氏である。「それぞれの講習会に参加してみましたが、他社ソフトの方は難しくてちょっと自分には使えないかな、と。逆にARCHICAD はなんだか使えそうだな、付きあっていけそうだなと感じたのです」。2 人の議論は平行線でなかなか答えが出なかったが、ARCHICAD 付属のある製品の試用をきっかけに急転直下で結論に達した。

 「決め手の製品はBIMx です。BIMxの存在を知った瞬間、これしかない!と即決したんです。とにかくその圧倒的なプレゼン力は、私たちにとって非常に大きな魅力でした」(下山氏)。こうしてようやくARCHICADの導入に漕ぎ着けた両氏だったが、導入したからといってすぐに実務に投入できるとは限らない。当時の同社はまだ設計スタッフ5名のアトリエ事務所であり、その全員が多くの仕事を抱えてきわめて多忙だったのである。結果、誰もが使い慣れないBIM ツールへの乗り換えを躊躇っていたのである。

 「まずは自分がやるべきだ、と思ったのですが、どうしても時間が作れず、皆も忙しくて……正直一度は断念しかけました。他方で“これからの建築業界は絶対にBIM 中心になる!” という確信は強まっていたものの、何しろ時間が無くて。そんな時、3D ソフトの使用経験を持った若手が入社してくれたので、2 人で一緒に教えあいながら何とか使い始めることができました」(下山氏)。

パース、BIMx、ムービー……
プランニング&プレゼンテーションに特化した
独自の BIM 活用スタイルから、さらにその先へ

何よりまず見せるため・伝えるために

 「5 年経った今では、小物件を除き新築のほぼ全てをARCHICADで作っています」。蒲生氏によれば、改修物件もARCHICADを使うケースが増えているとのことで、導入時の悪戦苦闘が嘘のような活用ぶりだ。まさにARCHICAD 導入当初から同社が目指していた、プランニング&プレゼンテーションに特化したBIM 活用が見事に実現されたと言えるだろう。「お客様との最初の打合せ段階から、立体的に視覚的にお見せしながらプレゼンテーションし、お話できるようになったわけで。この手法は、いまや当社にとって最大の強みとなっています」と蒲生氏も語る。

 「その意味で当社の使い方はやはり独特なのでしょう」。そう言って下山氏は苦笑いする。実際、要望を聞いて構想を練ると、同社ではまずARCHICAD でモデルを立ち上げ、パース等を作り始める。中身の情報は入れ込まず、素早く「形」を作りプレゼンするのだ。お客様にすれば、要望が驚くほどスピーディに具現化されるわけで、その驚きは施主にインパクトを与え、設計者への信頼に繋がっていく。「たとえば先日竣工した蛍雪学園新園舎の新築工事も、そんな感じでした」(蒲生氏)

蛍雪学園新園舎新築プロジェクト

 「社会福祉法人 蛍雪学園」は1953 年設立の児童養護福祉施設。さまざまな環境的要因で多くの悩みや問題を持つ40 人ほどの子どもたちが生活を共にする「家」である。この旧園舎の老朽化に伴い、RC 造2階建て・延床面積1,588 ㎡の新園舎を新築することになり、がもう設計が設計監理を請負ったのである。「旧園舎の建物は昭和初期のもので、かなり老朽化していましたが、そこに暮していた子供たちにとってはかけがえのない“自分の家”。そこで、この旧園舎のデザイン要素も応用しながら、とにかく子どもたちが明るく暮せるように、光と風を取り込んだ暖かい雰囲気のデザインを考えました」。そう語る蒲生氏が丹精を込めたデザインは、例によって早い段階でARCHICAD により3D モデル化されBIMx や各種のパースも制作。さらにビジュアライゼーションソフトでプレゼン用のムービーまで編集された。

 「ムービーはプレゼンや打合せでお見せして“分かりやすい!” とたいへん好評だったので、子どもたちにも“新しい園舎はこんな風になるよ”、と見せる機会を作りました。するとひと目見て“うわーっ!” とすごい歓声を上がって……あれは本当に嬉しかったですね」(蒲生氏)。しかも、この時のBIM活用は設計段階に留まらず、施工現場まで拡大していった。実は施工会社に選ばれたのは、蒲生氏の勧めでARCHICADを導入して施工BIMに取り組んでいた旧知の工事会社だったのだ。「元々、現場監督さんも現場にiPad を持ち込むような会社だったので、BIMx データを提供すると早速iPadで現場に持ち込んでお客様への説明等に活用したり、動画にドローンの空撮映像を合成してプロモーションムービーを作るなど、非常に積極的に活用してくれました」(下山氏)。

 新園舎は2020 年3 月に引き渡しも完了した。蒲生氏らに対しては「子どもたちも新園舎を気に入り、明るく伸び伸び育っています」と感謝の声も届いている。だが蒲生氏はまだまだBIM の展開に満足していない。「現状、ARCHICAD の活用は基本設計段階までで、申請図等の図面は2 次元CAD で描きます。当然、全てARCHICAD で描くのが一番良いわけで……ARCHICAD にもさらなる進化を期待したいですね」(蒲生氏)

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