ARCHICAD 沖縄ユーザグループ
幹事 高江洲 尚 氏
(株式会社国建 建築設計部 次長)
ARCHICAD 沖縄ユーザグループ
三嶋久美子 氏
(株式会社都市建築設計)
ARCHICAD 沖縄ユーザグループ
池村秀明 氏
(アトリエイケムラ 主宰)
那覇中心部の好立地で拓かれる定期会合
晩夏の頃の那覇中心部、繁華街が賑やかさを取り戻す午後7時過ぎに、「国際通り」や「県庁前」駅からも近い或るビルを訪ねた。このビルの9階ラウンジで、ARCHICAD 沖縄ユーザグループ(以下AOUG)の定例会が開かれているのである。
「以前は沖縄県建築士会の会議室等を借りていましたが、少しですがお金もかかるし部屋の予約の手間もあったので、今年からメンバーの所属する事務所のラウンジを提供してもらうことにしたのです」。
そういって、私たち取材班を笑顔で迎えてくれたのは、AOUG の幹事役を務めている株式会社国建の高江洲尚氏である。創業半世紀余の歴史を持つ地元設計事務所 国建の建築設計部で、高江洲氏は同次長を務めている。そんな高江洲氏に案内されて、部屋に一歩足を踏み入れるとすぐ、10数名の会員たちから口々に挨拶の言葉をかけられた。見ると大型のビデオモニタを中心に、自然木の風合いの大きな会議机を設えた落ちついた雰囲気の空間に、10名ほどのAOUG メンバーの方々が集まっていた。
「現在、会員数は23名になりましたが、月1回開いている定例会の出席者は平均14~15名です。今日はちょっと少なめです」。そう語る高江洲氏の紹介で、まずはメンバー各氏と挨拶を交わし、名刺を交換させていただいた。前述の高江洲氏を筆頭に、アトリエ設計事務所や組織設計事務所など様々な設計者の方、BIM 担当の方、またBIM サポートに特化した設計会社など、文字通り多士済々である。年齢も性別もさまざまだが、誰もが底抜けに明るい笑顔なのが印象的だ。
「メンバーの共通点は“ARCHICAD を使う設計者” ということくらいで、それぞれが所属している会社は本当にさまざまです。現状では沖縄本島の方がほとんどです」(高江洲氏)。離島を別にすれば、遠くてもクルマで1時間程度でやって来られる好立地に、居心地の良い集会場所が確保されていることも、途切れず活動が続けられている理由の1つだろう。その意味では、沖縄はもともとグループを造りやすい環境にあった、と高江洲氏は言う。その活動の中心となっているのは、ここで毎月1 回開催される定例会である。内容はメンバーの交流と情報交換が中心だが、中でも人気が高いのが、メンバー有志による発表形式で行われる、ARCHICAD の操作に関する情報発信と情報交換だ。
オープンで意外性に満ちた情報交換
「沖縄の場合、ARCHICAD の普及が遅かったので、基本的な操作でつまずくユーザも少なくなかったんです。そのため昨年のセミナーの参加者たちが“詳しい人に教われる場があるといいのにね” ――と言い合ったのが、全ての出発点になりました」。こんなふうに気軽に始まった集まりだっただけに、定例会での情報交換もそれほど格式ばったやりかたはしていない。
「“こういうことで悩んでます”とか、“こんなやり方はどう?”とか。発信したい人が自由に発表し、それを皆で考え意見しています。ここでは誰も情報をしまい込んだりせずに、アウトプットしてくれますよ」。だから発表の順番を決めたり次回テーマを決めたりもしない。自由でオープンな雰囲気を尊重し、「宿題」など出さずにできるだけ参加のハードルを下げているのである。
もちろんユーザの操作スキルはさまざまだから、発表の途中で発表の主題とは別の確度から質問が飛び出して、意外な発見に繋がることも多い。やりとりはしばしば思わぬ方向へ転がっていく。――だからこそ面白いし、役に立つのだとメンバーは口を揃える。株式会社都市建築設計の三嶋久美子氏は語る。
「たとえば ARCHICAD を操作しながらの発表で、講師役が何気なく行った操作が初めて見るテクニック、ということもよくあるんです。“今の何!?”、“もう一度やって!”って(笑)。本筋以外にも無数のヒントが隠れていてすごく勉強になります」。三嶋氏によれば、比較的多くの企業のBIM担当は 1 人で任されて横の繋がりも少なく、AOUG 設立以前は相談できる仲間もほとんどいなかったという。
「サポートだけを相手に孤独に勉強していたので、自分のやり方が正しいのか分からなくなることも多くて、正直とても心細かったですね。それがユーザ会で“仲間がいる!1人じゃない!と思えるようになって。それだけですごく心強いですよ」(三嶋氏)。
もちろん熟練した ARCHICAD 遣いのユーザも参加している。一級建築士事務所アトリエイケムラの池村秀明氏は、さまざまな操作法からGDL の活用まで、定例会では発表役を務めることも多い。
「私は他社CAD からの乗換え組で、BIMにも以前から取り組んでいたため、わりと早くARCHICAD を修得できました。それでも少しでも楽に描きたいことに変わりはありません。実際、他の方の使い方を見ているだけでいろいろ発見があるし、この集まりは本当に貴重な機会なんですよ」(池村氏)。
ウチナーンチュならではの大らかさで
メンバーたちによれば、もともと公共工事が多い沖縄では、公共工事のBIM 化の進展とともに、ARCHICAD ユーザが急増しているという。これにともない、以前はなかったゼネコン等からの入会希望者も増えている。
「会員が増えてきたので、会則などもリニューアルしていこうと考えています。操作に関する発表や質問も、実務に関わる部分は守秘義務も絡んできますからね」(高江洲氏)。
もちろんオープンな雰囲気は守りながらユーザ会としての体裁を整え、合わせてその取組みの幅も広げていきたい、とメンバーは考えている。たとえば ARCHICAD に関する発表も、図面化やデータ変換など関心が高いテーマを設けるのも1つの方法だろう。
「他にもたとえば、ARCHICAD によるBIMを使って実際に建った建物の見学会なども、皆のテンションをさらに上げられそうです。とにかくこの良い環境とウチナーンチュ(沖縄人)としての大らかさを活かして、楽しく続けていきたいですね」(高江洲氏)
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