株式会社 清水公夫研究所
クリエイティヴ支援ツールとしてのARCHICADの可能性を追求 設計事務所によるBIM活用の新しい形

株式会社 清水公夫研究所

福島県郡山市に本社を置く清水公夫研究所は、社名の通り、建築家 清水公夫氏が主宰する建築設計事務所である。郡山市を中心とする福島全域をフィールドに、学校や病院等の公共施設を中心に多様な建築物の設計を手掛けている。地域を代表するアトリエ系事務所として知られる同社だけに最新技術の導入にも熱心で、BIM活用にもいち早く取り組み、地域の建築業界の先頭に立っている。そんな同社がBIMツールとして採用したのが「ARCHICAD」だった。その選択の背景と狙いについて、清水氏らにお話しを伺った。

株式会社清水公夫研究所

創業:1974年

事業内容:一級建築士事務所

代表者:代表取締役 清水 公夫

所在地:福島県郡山市

従業員数:7名

代表取締役
清水 公夫 氏

チーフデザイナー
鈴木 清高 氏

青栁 浩司 氏

佐川 和佳子 氏

コミュニケーションツールとしてのBIM

「当社が3次元化の取り組みに着手したのは10年以上も前のことです。おそらくプレゼン用CGについては、福島の建築設計事務所では一番早く導入した1社でしょう。もっとも時期があまりにも早すぎたせいか、当時は十分に使いこなせたとは言い難い状況でしたが・・・」。そう切り出した鈴木氏は苦笑いを浮かべる。当時同社が導入した国産CGソフトは、機能的に未成熟で使い勝手が悪く、同社内では一部のプロジェクトでプレゼン用パース制作に使われた程度で、徐々に社内での活用機会も減っていったという。それにしても、なぜ同社はこれほど早いタイミングで3次元化に挑戦したのだろうか。

「世の中は、映画もテレビも3Dが普及しているにも関わらず、建築は未だに明治からの手法である2次元主導型が主流です。昔は”ラジオ”、それが今では”テレビ(映像)”に置き換わり、一般の人も”映像”を見て理解する時代になりました。つまりコミュニケーションは、”文章”から”絵”、そして”映像”への変遷を遂げています。この中で建築は、多くの人手を掛けながら、旧来の手法に拘りすぎているように感じるのです」。と清水氏は説明する。だからこそBIMという新しい概念が登場すると、清水氏はすぐにそれが持つ可能性の大きさにいち早く気が付いたのだという。そして、鈴木氏らにBIMツールの導入検討を命じ、その結果、選ばれたのがARCHICADだったのだ。

「当社では、”顧客に設計内容を正確に伝えること”を重要視していて、さまざまな手段で”設計の見える化”を図ってきました。当然、ARCHICAD以外にもいくつか別の3次元CADやCG製品を検討しましたが、やはり当社が求めるモノに一番近かったのはARCHICADでしたね。使い勝手の良さはもちろんですが、ARCHICADは特別な工夫をしなくてもスムーズに実施設計まで持っていけそうな雰囲気があったのです。また、当社では学校や病院など大型公共施設を多く扱うので、ARCHICADのチームワーク機能も魅力的でした」(鈴木氏)。

設計品質の向上にとどまらないBIMの効果

こうしてARCHICADは同社に導入され、現在、着々と社内普及が進められている。最終的には設計者全員の設計ツールをARCHICADへ移行し、基本計画から実施設計、さらにはその先まで、トータルにARCHICADを活用していく計画だ。もちろん、乗り換えは進行中のプロジェクトの状況を勘案しながら進められている。それだけに、現状では各設計者の習熟度に若干の差があることは否定できない。だが鈴木氏ら導入を担当したチームが中心となって活用は確実に広がり、成果も徐々に上がり始めているという。

「私たちのチームでは基本計画関連の作業は、ほぼ完全にARCHICADで行っています」と語るのは、同社で最もARCHICADに触れているという青栁氏だ。同氏はすでにすべての作業をARCHICADで行っている。

「実施設計についても、最近ようやく”行けそうだ”という感触が掴めてきました。次の案件あたりでは本格的に挑戦したいですね」。そんな青栁氏の現在の業務の流れは、新規案件の場合、おおむね以下の流れで進められる。まず清水氏が構想を練り、手描きのスケッチを描き起こす。このスケッチを基に青栁氏がARCHICADで入力。早い段階でモデルを立ち上げ、清水氏のチェックを受ける。そして修正、変更、再びチェックというやり取りを繰り返しながらモデルを仕上げていく。企画案が完成すれば、クライアントへのプレゼンもARCHICADでパースやアニメーションを出力して行い、その後の実施図面もARCHICADの2D機能を使いながら進めていきます。 

「当社では、ISOを取得し、クライアントに対するサービス向上にも努めています。クライアントに当社のデザインを正確に理解してもらうためには、図面では不十分だと考えています。クライアントが”映像”からモノを判断する時代の中で、2次元の設計図面では”私はこう考えていなかった”ということが多々発生します。顧客との意思の疎通を図るためにはコミュニケーションが重要であり、3次元CADではそれが可能であると判断しているのです」(清水氏)。 

「3次元は入力の手間がありますが、モデルの立ち上げやそれを使った検討、修正は非常にスピーディです。成果を3Dでリアルに見せられるので、修正指示も明確ですし、対応も容易です。作業時間全体は短縮できなくても、その分、十分に検討を重ねられるので、設計の品質や精度は確実に向上していると考えています」(青栁氏)。

設計の見える化”が広げる活用領域

一般にBIMのメリットといえば、業務効率化や生産性向上の側面が強調されがちだ。しかし、設計者にとっては3D活用による発想の広がりや設計品質向上など、設計者自身のクリエイティヴに直結する効果も見逃せないはずだと鈴木氏は語る。 

「建築はもともと立体物です。しかし、立体を考える上で立面図は十分な材料とはいえません。立面図には奥行きが無く、人間の目による見え方とは全く別物です。だからこそ私たちは建築模型を必要としてきたといえるでしょう。しかし、ARCHICADならPC上にモデルが素早く簡単に作れ、修正も変更も比較的容易に行えるのです」。そんな鈴木氏の言葉に青栁氏も大きく頷く。

「たとえば複雑な屋根形状などは、実際に納まるかどうか2Dの図面では気付かないことも珍しくありません。しかし、3Dで見ればこれも一目瞭然です。これまでは、ある意味おざなりにしていた部分まで、視覚的に確認ができます。そのことはクライアントにとっても同じで、3Dでプレゼンをすれば、きちんと理解してもらえますし、要望も具体的に出てきますので、クライアントの期待に応えやすいのです」。

このような”設計の見える化”は、徐々に同社内におけるARCHICADの活用フィールドを自然な形で広げ始めた。設計ツール、コミュニケーションツール、プレゼンツール、あるいは教育ツールとしても力を発揮し始めているのだという。今年4月に入社したばかりという佐川氏は語る。 

「私は建築界の経験がまったくなく、実際、CADに触れるのも初めてでした。でも、ARCHICADは想像以上にわかりやすく、直感的に使えましたね。今では何とか先輩方のお手伝いもできるようになっています」。 

「建築も平面・立面・断面を作成してコミュニケーションをする時代ではなくなってきていると考えます。今後は、設計図書も映画同様に映像・立体で見せるようにしていきたい。まだ、設計フローも含めて修正する部分はあるが、これらがどう変わるかに期待したいね」。と清水氏は同社における今後の設計の方向性について締めくくった。

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