大類真光建築設計事務所
安心できる木造住宅づくりにArchicad、BIMxを活用 大類事務所のBIMを引っ張る2年目設計者

大類真光建築設計事務所

山形市にある大類真光建築設計事務所は、雪国の厳しい気象条件に耐え、安心できる木造住宅などの設計にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用している。そのきっかけは、3年前にグラフィソフトジャパンの「Archicad」を使う建築学生がアルバイトとして入ったことだった。その学生は今、2年目の若手設計者としてベテラン建築士である所長とともに、BIM活用のレベルアップに取り組んでいる。

大類真光建築設計事務所

所在地 山形市寿町

代表者 大類真光

創 立 2013 年

業務内容
住宅、集合 住宅、商業 店舗、 オフィス、クリニックなどの新 築・増築、リノベーションの設 計・監理

大類真光建築設計事務所
代表 大類 真光 氏

大類真光建築設計事務所
桑原 和則 氏

模型と図面のプレゼンをBIM化

「Archicadを使い始めて、お客さんへのプレゼンテーションが変わりました。以前は模型と図面で設計プランを説明していたのですが、BIMモデルで見てもらうようにしたところ、内観などをお客さんに理解してもらえるスピードがぐっと速くなりました」と、大類真光建築設計事務所(以下、大類事務所)の大類真光代表は語る。

プレゼンテーションでは、Archicadで設計したBIMモデルを、iPadやiPhone、Android端末などで見られるアプリ「BIMx」をよく使う。

「設計中の建物のBIMxデータは、奥さまにも好評です。自分自身で建物内をじっくりウォークスルーして見てくれて、気付いたことを早めに言ってくれるので助かります」(大類氏)。

ある物件では、二階の床を一部上げて『スキップフロア』を設ける立体的なプランで進行していたが、設計の初期段階で『フロアが狭く感じる』という理由で方向修正を行った。その結果、手戻りがなく、お客さんにも満足してもらえる建物に仕上がった。

「八木田にある家」の完成写真


Archicadで作成したBIMモデル

アルバイト学生がArchicad活用

大類事務所の大類代表は、建築関係の専門学校卒業後、3年間、工務店で働いた経験を持つ。その後、12年間、山形市内の建築設計事務所で設計経験を積み、2013年に現在の事務所を立ち上げた。

「顧客は30代から40代の働き盛りの方が中心です。なるべく、自然素材を使い、落ち着いて暮らせる家造りを目指しています」と大類氏は語る。

山形の住宅に求められる条件は、最大2mにも達する積雪に耐えることだ。「外壁には木材を使うこともよくあります。木材というと耐久性がないというイメージもありますが、工業製品よりも木材の方が良い場合もあります」(大類氏)という。木材に対する選択眼は、工務店時代の現場経験ならではのものだ。

大類事務所では長らく、無料の2次元CADを設計ツールとして使っていた。2017年にユニマットリックが開催したArchicadの体験セミナーに参加して、展開図などが簡単に作れることを知ったのがBIM導入につながった。

スキップフロアを設けたプラン。二階の白壁の裏にあるフロアがせり上がっている

スキップフロア部分を内部から見たパース。お客さんから「部屋が狭く感じる」として採用には至らなかったが、早期の修正のおかげで手戻りは最小限に抑えられた

「しかし、なかなかArchicadには手つかずのまま、半年が過ぎました。そこに当時、東北芸術工科大学の3年生だった学生がアルバイトで入ってきたことがキッカケで、設計業務でのArchicad活用が急速に進み始めました」と大類氏は振り返る。

その学生とは、現在、正社員として2年目を迎えた桑原和則氏だ。

「大学時代からCADが趣味でした。初めは書籍やトレーニングマニュアルによる独学でArchicadの学生版を学んだため、苦労しました」と桑原氏は語る。しかし、大類事務所でアルバイトし始めてから、グラフィソフトジャパンのVIPサービスやウェブサイトの質問コーナーを利用できるようになり、楽になったという。

大類事務所がなかなかArchicadの活用に踏み出せなかった理由は、山形の住宅には欠かせない木製外装材などのBIMオブジェクトがなかったことが大きい。そのため、BIMモデルから矩計図や平面詳細図を作成するワークフローにつながらなかったのだ。

桑原氏は、アルバイトとして設計に必要なBIMオブジェクト作りを地道に進めて行った。その結果、大類事務所として生まれた初のBIMプロジェクトが山形市内に立つ「小白川にある家」だ。

初のBIMプロジェクトとして竣工した「小白川にある家」

桑原氏の入社後、大類事務所でのBIM活用はさらに本格化した

Archicadが事務所の未来を開く

その後、桑原氏は大類事務所に入社した。今では桑原氏だけでなく大類代表自身もArchicadを自由自在に操作するまでになり、BIMで設計した物件は10件ほどまで増えた。

同時に、BIMの活用技術も上がっている。最近の木造軸組構造は、仕口などを工場で機械加工するプレカット工法が主流になっているが、時には大工さんが現場で墨出しを行って加工する場合もある。

そんなときは軸組みをArchicadで設計し、大工さんにBIMxのデータで渡すと、わかりやすいと喜んでもらえる。

冒頭の「八木田にある家」の木造軸組構造モデル。大工さんにBIMxで見てもらった
木造軸組構造と意匠設計の取り合いもBIMxなら一目瞭然だ

例えば、リフォーム工事で使われる「リノベーションフィルター」という機能を、新築工事でのプラン比較に使うというユニークな活用方法も実践している。

「今後は鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物にもチャレンジしたい。またBIMクラウド上で他の設計事務所とも協働し、事務所自体も大きくして行きたい」と大類氏はArchicadの活用をバネに、次の展開を脳裏に描いている。

また桑原氏は「RhinocerosやGrasshopperによるアルゴリズムによるデザインや、ArchicadとTwinmotionを連携させたリアルなレンダリングにも取り組みたいです。住宅以外にも、学校や保育園など大規模な建物をArchicadで可視化しながら手がけてみたいと思います」と今後の夢を語った。

Archicadを設計ツールとして使いこなしはじめた大類事務所には、新たな成長戦略の道が開けたようだ。

Archicadで計画したある大型施設

photos©長岡信也事務所

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