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株式会社 伊藤喜三郎建築研究所

お話を伺った方々 デジタル推進室長横山 正美 さん 係長石田 さやか さん 伊藤喜三郎建築研究所のBIM導入医療建築業界の革新と挑戦 創業者の伊藤喜三郎氏は、病院建築の領域を広げたパイオニア。以来、伊藤喜三郎建築研究所は […]

株式会社 伊藤喜三郎建築研究所

所在地 
[本  社]東京都豊島区
[仙台支店]宮城県仙台市青葉区
[大阪支店]大阪府大阪市中央区

[九州支店]福岡県福岡市博多区

代表取締役社長 森嶋 浩

創業 1952年

業務内容
① コンサルティング
② 開発・計画
③ 調査・診断・改修設計
④ 建築・構造・設備設計
⑤ 設計監理・工事監理

お話を伺った方々

デジタル推進室長
横山 正美 さん

係長
石田 さやか さん

伊藤喜三郎建築研究所のBIM導入
医療建築業界の革新と挑戦

創業者の伊藤喜三郎氏は、病院建築の領域を広げたパイオニア。以来、伊藤喜三郎建築研究所は“病院の伊藤”で知られるほど、医療建築業界を牽引する存在だ。
会社がArchicadを導入したのは2009年。いわゆる「日本のBIM元年」と言われた年で、世の中の動きにのらなければという思いがあった。数社のBIMソフトを検証したところ、アイコンの選択など感覚的な操作がしやすいという意見が多く挙がり、グラフィソフトのArchicadに決めた。

「Archicadは建築家のために開発されたソフトウェアなので、直感的に使いやすかった。OPENBIMの考えで、建築に必要な他社ソフトとの連携もスムーズ。ユーザーコミュニティーもあり、そこから出てきた意見を次のソフトで標準化してくれたり、ユーザー目線でサービスを考えてくれるのも嬉しいですね」
そう語るのは、デジタル推進室の横山さん。しかし、導入して4年間は社内でBIMが使われることはほとんどなかった。まずは自分が使ってみよう、と最初にBIMを取り入れたのは、栃木県にある4階建ての総合病院だ。
外観は凸凹が少なくシンプルな計画で検証しやすかった
「平面図を作図するのも、2DCADで一本ずつ線を描くより楽にできました。最初は操作に慣れなくてイライラ。でも、BIMで設計した建物モデルからBIMxやアニメーションを作成。プレゼンでお施主さまに喜んでいただき、これからの必要性を実感。この頃はまだ基本設計はArchicad、実施設計になると2DCADに戻す、という状況でした」

フルBIMに取り組むことで
最初のひと手間と表現の線引きの必要性を知る

基本設計から実施設計まで、フルBIMに挑戦したのは茨城県日立港にある病院だ。
「2018年頃、仕上表や建具表も連携して、実施設計図書を纏めました。結果、やれることの多さの反面、図面上の表現には諦めることもありました。
作図表現を割り切りつつ、先々の工程を踏まえて情報(プロパティ)を盛り込む最初のひと手間が、後々の作業に響いてくることは理解できました」。

日立港にある病院のBIMモデルと完成写真。

[Archicad のメリット その1]
動画の制作が簡単

動画を求められることが増えた昨今、Archicadでは、図面から生成したモデルをTwinmotionへ書き出すことで、簡単に動画作成が可能。
動画は視覚的にわかりやすいため、施主の理解を深め、クオリティの向上に繋がるワンランク上の話し合いができる。
「お施主さまに喜んでいただけると報われます。外部委託するときより作業時間に余裕が生じ、その分検討に時間を使用できることもメリットでした」。

病院のスタッフステーションや病室の見え方をArchicadからTwinmotionへ書き出して動画で確認。

断面図をフル活用して
凸凹物件の干渉や納まり具合を次々に発見

日立港の病院設計をした翌年、現在施工中の神宮前にある障がい者施設の設計が始まる。東西で2フロア分の高低差があり、高さだけではなく、平面的にも複雑な建物だった。「BIMを使用して良かった物件だったと思う」と横山さん。BIMモデルを様々な方向に切って断面図を作成し「ここ塞がってないよ。うまく納まってないよ」などとチーム内で確認しながら設計を完成させた。頭の中で3Dがイメージできても、規模によっては把握しきれない。

[Archicad のメリット その2]
断面図の視認性

「モデル入力の時間はかかりましたが、どこでも切断して納まりを確認できるメリットは大きかったです。高低差があるため平均地盤面を出すのは面倒だと思っていたのですが、Archicadで用意されたツールであたりをつけ、最後に人の目で確認する作業のみ。効率的にできました」
凸凹物件で問題になりがちな日照問題も、日影計算ソフトを活用して条件をクリア。
BIMをフル活用することで、より設計を円滑に進めることができた。

3Dでの干渉チェックと干渉チェック終了後の断面図。

[Archicad のメリット その3]
着色立面図がリアル

Archicadの立面図は材質を割り当てることで素材の雰囲気が表現でき、設計当初から材質や色味をイメージしやすい。
また、修正があっても色や影が追従するため、作業効率が上がる。

神宮前の着色立面図。

デジタル推進室が他部署をフォローしながら
デジタルユーザーを増やしていく

いくつかのプロジェクトを経て、2023年4月、デジタル推進室が発足した。デジタル推進室のメンバーは3人。BIMの導入から注力していた横山さんに加え、新たに石田さんと福島和恵さんが加わった。設計部、構造部、機械設備部、電気設備部と並んで「室」扱いとなったのには、「デジタル技術で他部署をフォローしていく」との意が込められている。
現在、デジタル推進室ではArchicadに関する操作マニュアルや動画の作成、研修の実施、社内イントラネットを立ち上げ役立つ知識や情報を配信するなど、日々普及活動に取り組んでいる。
「グラフィソフトは万人向けのソフトなので、当然ながら弊社独自のツールやルールは自分たちで作る必要があります。そのために、私たちがGDL(グラフィソフトが独自に開発したプログラミング言語)でオブジェクトを作ったりもします」設計部の半数近くはArchicadを使うようになった。施主からパースを求められることも多くなり、図面を描くというよりもパースを作るために使っている人も多い。
「理想は、BIMを使って一気通貫。でも、ソフトや操作に慣れるまでは、パース作りだけでもいいと思う」と、横山さん。

「病院設計では、病室などの有効面積が決まっていて、壁厚などの詳細な入力が必要です。その設定が手間となり、負担を感じて使用を避ける設計者もいます。デジタル推進室では、そういう設計者の負担を少しでも軽減するために、最低限の設定を行ったテンプレートを作成して、社内で共有しています。ゾーンの出番は多いです。また、各図面に展開するために表現の上書きを活用していますが、難しい面もありますね」
物件や職種によって、求める図面表現や仕上がり具合は違ってくる。そのためどのようにBIMで作図を進めていくか。
そのようなとき、デジタル推進室に声がかかる。プロジェクトに入って一緒に作業したり、困ったときの相談ごとを解決できると、BIMの便利さを実感してくれて、次の案件の際に「Archicadだとこれできるよね、じゃあやってみようか」となる。
今はボトムアップ的な対応を積み重ねて、デジタルユーザーを増やしている状況だ。

デジタル推進室がオリジナルで取り組んでいる、BIMの普及活動の一例

社内普及用の紹介サイト。

タラップ / 既存オブジェクトだと表現上うまくできないものは自作(GDL)する。

社内の表示略号。

小倉第一病院の透析室。設計コンセプトは「明るく前向きな生活を送るためのセカンドハウス(第2の住まい)」。

会社の枠を超えてサポートし合いながら
日進月歩のデジタル技術に適応する

病院は設計期間が他の物件よりも長期にわたることが多い。意思確認にも時間がかかるので、その段階にBIMを活用したいと、推進室では考えている。
「例えば、打合せの場で修正しながらその場で確認を取る。VRを使うと、自分目線のシミュレーションもできます。それが図面を作る延長線上でできるのが、Archicadのいいところですね」

今後はデジタル技術として、BIMだけでなくChatGPTや画像生成などのAIの活用も視野に入れている。
「ArchicadのモデルをベースにAIで画像パターンを出してもらうとか。あとは、自分たちで簡単なプログラムをもっと書けるようになって、便利なツールを作成したいです。私たちのデジタル技術の向上が、設計作業時間の有効活用に繋がれば嬉しいです」

横山さんは、知識や技術を高める手段として、グラフィソフトのユーザー会にはかなり助けられているという。ユーザー会とは、グラフィソフト認定のユーザーコミュニティー。グラフィソフトのカスタマーサクセスチームがサポートしている。
ユーザー同士で各エリアにリーダーを任命し、お互いに情報を共有したり教え合ったり。年1回の勉強会では、Archicadを使って一緒にモデルを作り、検証もしている。
「使いはじめの頃は、グラフィソフトの担当営業が、わからなかったら社内説明会を設けますよと親身になってくれて、心強かったですね。また、建材メーカーやユーザーを紹介してくれたりと、助けてくれました」。

最近の代表作は、2021年に竣工した北九州の小倉第一病院。
これまで安全性を重視して段差を作らないのが病院設計のセオリーだったが、この物件ではあえて段差を作ることで、目の前に広がる川の景色を見ながら透析ができる環境改善を図った。「デジタルは様々な設計に対するチャレンジを後押ししてくれます。今後も必要なデジタル技術は積極的に取り入れていきたいです」

デジタル推進室のメンバー。(左・後ろ)から横山さん、石田さん、福島さん。(前・中央)に、メンバーの相談役で取締役執行役員兼経営管理本部長の赤岩重信さん。

Archicadの詳細情報はカタログをご覧ください

ー カタログと一緒にBIMユーザーの成功事例もダウンロードできます ー

  • Archicad ユーザーの設計事例を紹介
  • 設計時の裏話や、BIMの活用方法など掲載
  • その年ごとにまとめられた事例をひとまとめに
  • BIM導入前から導入後の情報満載

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