株式会社デジタルビジョン
ARCHICADを主体にBIM 技術者を1年かけて養成。 沖縄BIM センターが実践する「実戦BIM」の世界

株式会社デジタルビジョン

沖縄I T 津梁パークは、沖縄の情報産業の高度化と雇用創出を目指し、2010年に開設された新しいタイプのニアショア拠点である。すでに大手情報産業も多数展開しているこの地で、いま建築業界の注目を集めているのが DVI 沖縄BIM センターだ。ここでは25名余のBIM 設計者がARCHICAD を駆使。BIM による設計支援を中心に、鹿島建設など大手ゼネコンの生産設計レベルでの実戦BIM 展開を幅広く支援している。同センターを運営するデジタルビジョンの吉田社長に、その背景と具体的な展開について伺った。

株式会社 デジタルビジョン

設立 : 2001年10月

事業内容 : BIM 導入支援、BIM プロジェクト支援などBIM 事業、システム開発事業、大手住宅メーカーを対象とした生産設計、BIM センターおよびCAD センター構築・運営事業

代表者 : 代表取締役 吉田 敬一郎

拠点 : 沖縄BIM センター、沖縄CAD センター(沖縄県うるま市)

本社 : 東京都目黒区

webサイト : http://www.dvi.co.jp/

ARCHICAD を駆使する BIM 生産設計による設計支援の実動部隊

株式会社 デジタルビジョン 
代表取締役 
吉田 敬一郎 氏

株式会社 デジタルビジョン 代表取締役 吉田 敬一郎 氏

「当社が沖縄に展開するBIM センターは、実は2つあります。1つは当社自身の沖縄BIMセンターで、ゼネコン各社のBIM プロジェクトを支援するBIM 設計部隊。もう1つは、鹿島建設のBIM プラットフォームの一翼を担う鹿島建設沖縄BIM センター。ここはBPO の形で鹿島建設のBIM プロジェクトの生産設計を行なっています」。吉田氏によれば、同地には他に大手住宅メーカーや住設機器メーカーの設計業務を支援する沖縄CAD センターも展開。特に2つのBIM センターは常時3〜4のプロジェクトが進行するなどフル回転中で、その業務の約9割がARCHICADによる設計支援業務だという。しかし実はその本社は東京・目黒に置かれており、沖縄との2拠点体制となっている。

「これにはもちろん理由があります。鹿島建設など多くのお客様のBIM 推進部署が東京なので、当社もBIM マネージャを東京に置いているんです。彼等を中心にお客様とやり取りしながら、仕様やモデリングルールを決め、サンプル作成や顧客の要員教育など、プロジェクト上流の仕事を行ないます」。こうしてモデリング仕様や設計ルールなどルール決めが終わり合意に達すると、サンプルを作成。これが承認されると沖縄BIM センターの設計部隊がARCHICADを駆使して設計を進める手順である。新規顧客の場合は、さらにコンサル活動からサポートを開始するケースも多い。

「その場合、まずBIM 導入の影響をメリット・デメリット含めてレポート。導入決定後にライセンス導入や社員の初期教育等から支援を開始します。そしてBIM プロジェクトが始まれば、基本設計から施工図まで幅広く図面化までを引き受けます。言わば沖縄はBIM サポートの実働部隊なんです」。

建築分野でもBIM 支援を行なう企業が増えているが、多くは基本設計やプレゼンを中心としたサポートで、同社のように導入から施工まで設計提案を含めた包括的なBIM サポートを提供できる所は少ない。特にBIM による生産設計実務を受けて、大規模な実動部隊を展開できる企業など稀だろう。

「お客様のBIM 活用に対する期待は、すでに中流から下流に移行しています。いまやその最大のニーズは、BIM を実施設計や生産設計にどう活かすか、どう維持管理に使うのか、という所に移行しているのです。実動部隊がなければ話になりません。“実戦BIM を実践する”――これが私たちの企業テーマなんですよ」。

屋上設備デッキ3Dビュー
屋上設備デッキ3Dビュー
部分詳細図
部分詳細図

県の支援のもと、沖縄県内人材を一から育成

吉田氏の言葉通り、同社のBIM センター事業の最大の強みは、BIM ノウハウを持つ実動部隊の存在である。設計提案できARCHICAD を駆使する設計者をこれだけ集めるのは、首都圏でも容易なことではない。しかし、現在沖縄BIMセンターには25名もの設計者が勤務し、CAD センターのスタッフも含めると設計者数は約100名にも達する。

「実はその全員が沖縄県出身者で、そこに私たち独自のノウハウがあります。当社は沖縄県の地域雇用創出企業に認定され、沖縄県の全面的な支援のもと1年をかけて現地の方たちを教育したんです」。こうした人材育成の試みは他にもあるが、多くの場合CAD 教育だけで終わってしまい、実際の雇用に結びつかないケースが多かった。しかし、デジタルビジョンでは、自社のBIM センターやCADセンターの要員として100パーセントの採用を前提にCAD 教育を実施したのである。

「センター要員として必ず採用するため、教育段階から給与を支払っています。ですから県も喜んで支援してくれるわけです。教育の内容も、鹿島建設なら鹿島建設のBIM に合致した内容で行なう“企業オンデマンド型”の専用教育で、きわめて実戦的。皆には、そのプライドを持ってステップアップしていってほしいと考えています」。そして、そんな同社の躍進のもう1つのポイントが、メインツールのARCHICAD とグラフィソフトの存在である。前述の通り、同センターでは業務の9割をARCHICAD で行っているが、そこには当然「ARCHICAD でなければならない」理由がある。

外壁廻り納まり
外壁廻り納まり
構造モデルの作成
構造モデルの作成

「実戦 BIM」の時代がやってくる

「日本の建築業界では、設計段階はもちろん施工現場においても、やはり図面という存在が欠かせません。そして、ARCHICADと他のBIM ソフトの一番の違いが、この図面化の能力にあります。実際、さまざまなBIM ソフトを試してきましたが、図面化に関してはARCHICAD が断然優れているんです。特にここ2〜3年の進化は目を見張るほどですね」。事実、吉田氏はこれからBIMに取り組もうという新規顧客に対しては、特別な理由がない限りARCHICAD をお勧めしているという。

「もう一点重要なのは、ARCHICAD を提供しているグラフィソフトが、ソリューションプロバイダー的なベンダーだという点です。実際、同社のスタッフは、日々の生産設計実務の中で生まれる技術的な疑問や問題を、私たちと一緒になって考えてくれます。私たちのようにあくまで実戦BIM を実践していく者がパートナーとして選ぶなら、やはりグラフィソフトしかありません」。

開所して3年。ここまで着実に規模を拡大し続けてきた沖縄BIM センターだが、吉田氏自身はまだまだこれからが本当の成長期になるのだと考えている。事実、既にある大手企業のBIM センターが近々の開設を目指して同社と共に準備を開始しているし、その外にもスーパーゼネコンなど数社からコンタクトがあり、こちらもおそらく幾つかBIM センターを作ることになるだろう、と吉田氏は語る。まさにこの沖縄の地で、デジタルビジョンの実戦BIM が大きく花開こうとしているのだ。

「これから本格化していく2020年の東京オリンピックや佳境に入った震災復興事業などの影響もあり、わが国の建築業界はもはやBIM を避けて通れません。しかし、多くの企業の取り組みはまだ検証レベル、学術レベルなのが現実で、試行段階に留まっています。それだけに今後BIM を本格的に運営していく上で、確実にリソースを確保でき、どんな状況下でもプロジェクトを回せる“センター化”の手法がさらに注目を集めることになるのは間違いありません。私たちもさらなる人材育成を進め、3年以内にはBIM 要員を80〜100名程度、今の4〜5倍に増員する計画です。まさに実戦BIM 時代の到来といえるでしょう」

BIM要員の養成
BIM要員の養成
施工図の作成
施工図の作成

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