アイテック株式会社
代表取締役 木村 雄一 氏
アイテック株式会社
生産設計部 プロジェクトリーダー
佐々 司郎 氏
BIMの時代を見据え、
1本目のBIMソフトとしてArchicadを選定
1991年に設立され、今年で30周年を迎えたアイテック。東京都足立区に社屋を構え、ゼネコンや設計事務所と協業し、施工図、実施設計、仮設計画図、そしてBIMモデル作成などを行っている企業である。
代表取締役の木村雄一氏は「当社の特長は、施工図、実施設計、仮設計画図のプロがBIMソフトを扱っていることです。単にソフトが使えるオペレーターというわけではなく、お客様の意向を汲みながら、BIMで何をどこまでできるかという技術的な提案まで行えることが強みです」と語る。
設立当初、施工図と仮設計画図の作成をメインに業務を開始したアイテックだが、約10年前に事業拡大の足掛かりとしてBIMに関する業務を手掛け始めたという。そこで当時BIMソフトの導入と事業化を強力に主導したのが木村氏である。
「BIM元年とされる2009年頃からBIMに関する情報を集め、ソフト導入の検討を始めました。セミナーなどで情報収集を行う中で、図面の手描きがCADに置き換わったように、これからBIMの時代が来ることを確信したのがきっかけです」と振り返る。現在、アイテックでは複数のBIMソフトを導入しており、顧客の要求に沿ってソフトを使分けることも多いというが、木村氏が社内に初めてBIMソフトを導入するにあたって、最初の1本目に選んだのがGRAPHISOFTの「Archicad」であった。
理由はいくつかあるが、特に「入門用の “Archicad Magic” というマニュアルを少し読むだけで、直感的なインターフェイスと操作で多くのことができるとわかり、導入を決めました。さらに最初から基本部材が揃っていて、スタートしやすく感じたのも理由ですね。当社のような企業の場合、最初のハードルが低いことが大切です」。
当時すでに複数のBIMソフトが世間では発売されていたが、他社と比べてArchicadのマニュアルはページ数も適量で、BIMの初心者でも扱いやすく、すぐに実践で使えるソフトであることが選定のポイントだったと説明する。
実際に、その言葉どおり同社ではArchicadの導入後すぐに、PCの建方を行う都内の現場の仮設計画で、建方の施工ステップモデルをBIMで行う機会があったため、即座に実践し成果を挙げられたという。
その後はプロジェクトで求められる機会が少しずつ増えていき、今では同社のBIMに関する技術は高く評価され、「逆にBIMモデルの作成から入って2次元の仕事をいただく場合もあります。BIMのおかげでビジネスチャンスは広がっている面が多々あります」と、BIMに関する業務が同社事業の柱の1つになったと評価する。
プロフェッショナルが語るArchicadのメリット
そしてアイテックの生産設計部 プロジェクトリーダーとして、施工現場での実施図や施工図の取りまとめをしてきたのが佐々司郎氏だ。現場でのBIMの活用が当たり前になってきたことを肌で感じ、3年ほど前にArchicadを習得して扱ったという。
「会社の事業では施工図の作成が比較的多いですが、BIM作成を通して計画寄りの依頼を受けるなど、さまざまなことにArchicadでチャレンジする機会が増えています。BIMモデルを作成すると、現場での説得力が違いますね。とりわけ、特殊な形状の合意形成にはBIMはよりわかりやすいため、向いています」と施工のプロの目線でBIMのメリットを語る。
また、ある大学のプロジェクトでは、外観の屋根のラインが有機的なカーブを描きながら変化する計画であったため、鉄骨の組み方のモデルやパースをBIMで制作。現場事務所で大型の液晶ディスプレイに映し出しながら合意形成をしたという例も語ってくれた。
「建築では構造や仕上げの部材数や種類が多いのでBIMモデルの作成は大変ですが、全般的に普及が進み、それにつれて要求も高くなっていることを実感します」と佐々氏。それでもArchicadを、ほぼデフォルトの設定のままで使い続け、不足は感じないという。
「仮設や施工計画の検討用ツールや、日影規制のチェックを行うアドオンを用途によっては使うという形です。Archicadはインストールした段階でも、平面図を作成していると部材管理ができ、立面図と断面図ができる。これだけ十分な機能が揃っているのは助かります」と使いやすさを強調する。
また、佐々氏は「施工の現場にBIMが浸透する際、BIMソフトは使いやすさがなにより重視されると思います。コストをかけてカスタマイズしなくても、パッと手軽にモデルを作成できるArchicadは現場に携わる忙しい人たちにも向いていると思います」と予測を語った。
施工現場におけるBIMの活用をさらに加速へ
木村氏は「Archicadを導入した当時のイメージより、現在の建築業界でBIM化は進んでいないと感じています」と現状を分析している。「施工では、やはり2次元での作図が基本となります。確認・検証のフローでは逆に3Dでなければ表現できないものもあり、現場の事前検討での生産性を向上させるための手段としてやはりBIMは有効です。いきなりフルBIMのかたちでなくても、BIMのメリットを少しずつ活かしながら施工現場でも導入を進めていくことで、BIM導入への全体的な機運がさらに高まるのではないかとみています。もちろん、BIMのさまざまなお悩みを当社はお請けできますし、BIMへの需要の高まりに応じて、私たちも施工でのBIM活用への転換をさらに加速させたいと思っています」と力を込める。
また、実際にソフト導入に際して研修や教育にかかる手間も気になるところだが、木村氏は「当社はOJTやセミナーなどを通して覚えてもらうスタイルです」と語る。アイテックでは基本的に、建築に精通した技術者が触れるためという理由もあるが、「少しわからない場合でもArchicadなら使う機能をあらかじめ伝えておけば、スタッフは建物のモデルをつくりながら直感的に使いこなしていきます」という。
佐々氏も「厳しい条件の中にあっても、プロジェクトでBIMを使うことに楽しみを見出している若いスタッフも多いようです。BIMを通して、楽しく仕事ができ、業界に若い人が少しずつでも増えるといいと願っています」と語る。
そして、木村氏は「BIMで効率よく現場を進めることで、建築の施工現場の生産性向上と長時間労働の改善が見込める点は、やはり欠かせない視点です。従来の決定プロセスを変えていくことのお手伝いをし、建設現場のトータルメリットになるよう働きかけたい」と事業の展望を語る。また、これから求められるFMなどにもBIMが役立つことを念頭に置き、次のように述べる。「これから既存の建物をどう生かすかという発想はいっそう重要になっていくでしょう。Archicadでも維持管理のための仕組みをつくることができるので、紐付けていきたいですね」と前向きだ。
顧客とともに現場の課題解決にチャレンジし、経験を積み重ねてきたアイテック。木村氏は「Archicadによって当社のBIMスキルもより向上させながら、お声掛けをいただければ何でもできる、という実績をさらに築いていきたい」と力を込めて抱負を語る。
Archicadの詳細情報はカタログをご覧ください
ー カタログと一緒にBIMユーザーの成功事例もダウンロードできます ー
- Archicad ユーザーの設計事例を紹介
- 設計時の裏話や、BIMの活用方法など掲載
- その年ごとにまとめられた事例をひとまとめに
- BIM導入前から導入後の情報満載